「仕事」と「知識・スキル」の等価交換。情報発信からの採用・雇用

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この1週間、募集→面談をやっていました。
採用・雇用というわけではなく、どちらかというと弟子募集という感じのものです。
ブログやメルマガなどの情報発信はこういうときにもいい影響がありました。
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これまでの採用や雇用への疑問

私は、独立までに5カ所(総務省、税理士事務所、税理士事務所、企業、税理士事務所)に勤めていました。
図らずも、公務員、個人事業主、会社という3種類を経験しています。

その中で、採用され、雇用されてきたわけですが、様々な疑問があったのも確かです。

特に税理士業界は、採用・雇用がきちんとしているわけではありません。
低賃金、長時間労働、残業代なし、募集要項と違うなどといった状況、そして、スキルや知識が必要な仕事でありながら、そのフォローがないといった状況です。

もちろん、「仕事は自分で覚えるべき」というのは重々承知ですし、私もそうやってきましたが、まったく何も教えないのも考えものでしょう。
「何でも聞いて」といわれていても、質問すれば、目の前に仕事に追われている上司に嫌な顔をされる、かといって、質問しないで自分でやって間違えると「なんで聞かないんだ!」とどなられる、こういった理不尽な状況も多いのです。
(実際に体験しました)

教える時間がない、教えるスキルがない、あるいは独立するのを恐れてあえて教えないという状況もあるでしょう。

結果、スキルや知識が身につかず、人も定着しません。
これが、内部だけの問題ならいいのですが、そのスキルや知識がなくモチベーションも下がった人が、お客様の生命線である税務や会計を担当するのが非常に大きな問題なのです。
(もちろん、すばらしい担当者もいます)
お客様へ知識やスキルが行き届かず、サービスの質も低下していってしまうでしょう。

こういった状況を打破するために、税理士独立を目指す方へメルマガを出したり、セミナーを開催したりしています。

 

 

人を雇うことへのジレンマ

とはいえ、より一歩踏み込んで知識やスキルを提供するには、自社で雇って仕事の中で教えるのが一番です。
仕事の中で教えるには、当然、仕事がなければいけません。
たとえば、データを入力するという従来の仕事なら、人に任せることができますが、こういった仕事はExcelやITで効率化してしまっていますし、常に改善しています。

「人に任せる仕事を増やす」というベクトルと、「効率化できる仕事は徹底して効率化して、人にしかできない仕事をやる」というベクトルは真逆です。
人を雇っても、生活をまかなえるだけの給料ほどは仕事がありません。

私が人を雇っていない理由の1つはこのジレンマがあるためです。
(もちろん、私に人を雇うというスキルや器量がないことも理由の1つでもあります)

多くの税理士事務所がやっているように、人を雇って担当を持たせて自分は経営に集中するという方法もありますが、これも私の経営スキルのなさ、方針との相違という問題から実現には至りません。

人は雇えないけど、「人を育てたい、知識やスキルを伝えたい」と常々考えていた中で、雇用関係を結ばずに、「人を育てる、知識やスキルを伝えたい」という部分にフォーカスしてやってみることにしました。
モチーフもあり、以前から構想していて、今回のタイミングでえいやっ!と募集をかけたのです。

条件は次のようにしました。
・途中でやめるのは自由。1ヶ月単位で判断可
・月1回あって知識・スキル提供。
・メール相談可能。ただし優先順位はお客様の後(即回答ではないが、翌日には回答)
・税理士業務、Excel、IT、Mac、ブログ、メルマガ、セミナー開催、時間管理、経営分析、会計などなんでも提供。自社の数値も公開。トライアスロンやマラソンも可(笑)
・本気で税理士独立を目指している方限定
(税理士として独立している方含む)
・1名から2名を選考

そして、この対価として仕事をやっていただき、さらに月5,000円をいただくことにしました。
↑これは誤植ではありません(笑)
等価交換で考えると、「5,000円+仕事」と「知識+スキル」の交換となります。
これが釣り合わないと思ったら、その時点でやめることができますので、私にとっても大きなプレッシャーです。

逆に、私が提供する「知識+スキル」の価値が上がれば上がるほど、やっていただける仕事も増えるでしょう。
5,000円との差額は仕事で払っていただければいいです。
知識+スキルが5,000円以下の価値と思えば、仕事をやっていただけないでしょう。

従来のように、「仕事」と「お金」の等価交換だと限界もあります。いくら給料を上げても満足度が上がるとは限りません。

「仕事+知識+スキル」と「お金」の等価交換となると、もっと釣り合わなくなるでしょう。

今回2名の方の同意をいただいたので、早速今週末からはじめます。
まずは興味のあることからということで、1名はExcelによる報告資料の作成、もう1名はブログ立ち上げ・スタートをやる予定です。
応募者の方にもお伝えしましたが、私も走りながら、今度どうしていくかを考えていきます。
教えるというのは私にとっても大きなメリットがあることです。
他の仕事へ相乗効果もあります。

私の提供するものがしょぼかったら、来月には誰もいなくなっている可能性もありますけどね(^_^;)

 

 

選考の過程

選考は次のように行いました。

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メルマガを毎日送っている読者に向けていますので、私の思考やくせ、ダメな部分はわかっていてもらえています。さらには毎日のこのブログも読んでいただいています。
このわかってもらえているというのは非常に大きいことです。

転職時に応募するときに思っていたのは、「これじゃ判断できないな。。」というものです。
応募する側にも選ぶ権利はあります。
あいまいな状況で応募して、採用されてしまい、実は全然話が違ったということも多いでしょう。
「明るくアットホームな会社です」とありきたりの文言ではわかりません。
トップがどういう考えなのかを明確に示す必要があるでしょう。

考えにあわないひと、私が嫌いな人は応募してきません。そもそも嫌いだったらメルマガを解除しているはずです。
同じ考えの方しか応募してこないというのは、この時点である程度のフィルターがかかっていることになります。
仕事の依頼を受けるときも同じ考えでやっています。

 

第一次選考「やりたくないことリスト」

第一次選考は、フォームへの入力をお願いしました。
書いていただいたのは、名前、連絡先メールアドレス、やりたくないこと10個、現在の状況、私がやっていることでやってみたいことです。
年齢、学歴、住所などは入れてもらっていません。
面接時に履歴書も出してもらっていませんし、名刺も交換してません。

「やりたくないこと」を書いてもらったのは、変な先入観よりも、内面、特にこれから税理士としてやっていく覚悟をみたかったからです。
アウトプット力も判断材料にしました。
やりたいこと、できることよりも、やりたくないこと、やらないことの方が内面が強く出ます。
予想どおりおもしろいものがたくさんありました。

私は、やらないことリスト(150個ほどあります)、毎日見ていて、いい影響があるので、おすすめしています。
やりたいことよりも、「やりたくなーい!」というパワーの方が強いです。
(人によるでしょうが)
やりたくないことをやらないようにするには、口だけではなく実行が欠かせなく、スキルや覚悟も必要となります。

これを選考にも使ってみたのです。
やりたくないと思っていることは皆さん同じようなことが多く、やはり業界全体の問題点と言われていることでした。

「現在の状況」は独立しているのか、科目合格(税理士は5科目制で科目ごとに合格があります)の有無を聞いたものです。

「井ノ上(私)がやっていることでやってみたいこと」は、私への興味度を書いてもらいました。
ある程度興味を持ってもらった方が、お互いやりやすいと考えたからです。
あんまり興味がない方だと、ちょっとなぁ・・・と思っていたら、予想以上にみなさんいろいろ書いていただきました。
ブログやメルマガを本当によく読んでいただけてると感謝した次第です。
「トライアスロンのような熱中できる趣味を持ちたい」はいくつかありましたが、「トライアスロンをやりたい」という方はいらっしゃいませんでした(^_^;)
それでも、ブログやメルマガ、セミナー、執筆をやりたいという方が多くて、うれしかったです。

第一次選考は、フォームの内容とフィーリングで決め、25名の募集から6名に絞りました。

 

第二次選考

第二次選考は面談。
実は面談日程調整時の連絡スピードも見ていたのですが、みなさん対応が早く全員合格でした(^_^)
「対応遅いのを嫌う」というのもばれてるのかもしれません。

面談時は、履歴書もなし、名刺交換もなし。

学歴・職歴は関係ないですし、必要あればきけばいいからです。

事前に顔写真も見ていませんのではじめてお会いした方も半分くらいいます。

形だけの名刺交換もいりません。私のことはネット上でよく知っているでしょうしね。今どこの事務所で働いているかも選考には関係ないですし、むしろ聞かない方がいいでしょう。

金、土、日で一気に面談し、2名の方に決まりました。
今後が楽しみです。

 

ーーーまとめーーー
今回の採用コストは0です(今回の件は採用というのかわかりませんが。。)。
実はブログをはじめたころから、「情報発信が人材募集にいい影響があるはず」という仮説がありました。
著書でもいいんでしょうが、著書にはいいことだけ書いている場合も多いです。どれだけ生の意見、情報を出しているかによるでしょう。

採用する側にとっても、応募する側にとってもいいことではないでしょうか。

雇用に関しても(今回のが雇用というかわかりませんが)、従来のシステムでは無理がある部分も多く、ITの進化により新しい雇用、連携の形が生まれてきています。
今後、こういった面でも新しいことに挑戦していきます。

 

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【編集後記】
昨日は午前中セミナーへ参加。午後は執筆、夕方から面談。
インプット、アウトプットいりまじり充実した1日でした

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