42.195km。フルマラソンとトライアスロンのランの違い[宮古島トライアスロン2016完走記④]

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宮古島トライアスロン(スイム3.0km、バイク157km、ラン42.195km)、制限時間13時間半のところ、13時間23分58秒で、ギリギリ&ボロボロ完走でした。
連載第4回(最終回)はラン編です。
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※宮古島トライアスロン ゴール後 

フルマラソンの42.195km。トライアスロンの42.195km

42.195km。

この距離を走る競技は2つあります。
フルマラソンとトライアスロンです。

フルマラソンの場合、42.195kmのランのみですが、トライアスロンの場合、その前にスイム(最長3.8km)、バイク(最長190km)があります。

宮古島トライアスロンの場合は、スイム3.0km、バイク157kmをこなしてからの42.195kmです。
今回はスタートしてから8時間ほど運動してからのランでした。

フルマラソンはフルマラソンで、つらさがあります。
私の場合だと通常4時間をきるくらいで走るので(ベストは3時間42分)、それなりに体に負担があるのです。
途中に歩くこともありません。
完走すれば勝者のトライアスロンと比べ、自分としても、フルマラソンはある程度記録も求めてしまうゆえの厳しさもあります。

トライアスロンのラン42.195kmは、5時間くらいのペースで走るものです。というよりもそのペースでしか走れません。
歩くこともありますし(つらすぎて)、とまることもあります。

体(特に脚、胃)へのダメージでいえば、フルマラソン42.195kmの方が大きいです。
ただ、メンタル、体力的なダメージは、当然トライアスロンの方が大きくなります。

バイクが終わったとき、どんな状態か。
いつもどきどきしながらバイクを降りています。
バイクで力を使いすぎるとランで走れません。

また、体力的なダメージでいえば、トライアスロンの42.195kmは「暑い」のが問題です。
フルマラソンは冬に行われ、気温10℃台や10℃以下で行われます。
2016年2月の東京マラソンは11℃です。
(以前参加した2013年2月の沖縄マラソンは22℃まで上がり、ボロボロでしたが)

今回の宮古島は、記録によると17時で、23.7℃で湿度80%。
トライアスロンのランは暑さ対策必須です。

宮古島のランコース

宮古島トライアスロンのランコースは、21kmの道のりを往復するシンプルなコース。
フルマラソンのコースは面白いものも多いのですが、トライアスロンのランコースにそれを求めることはできません。
シンプルに10kmを2往復というケースが多いです。
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他の大会(ラン42.195km)と比べると、宮古島はゆるやかなアップダウンが多く、実際に走ってみても、佐渡、五島よりもつらいコースでした。
EX IT SS 2

救いは、前半は上りが多く、復路の後半(25km以降)は下りが多いこと。
今回はそれに賭けました。
さらに、後半は、日が暮れて少しは走りやすくなります。

後半にペースを上げられるか、パワーが残っているかが勝負でした。

後半に賭ける作戦で、なんとか完走

バイクが終わって脚は快調

バイクが終わって、ランの準備をして走り出しました。
ずっと痛かった足裏がまだ痛むのは心配でしたが、バイクでのこぎ方を変えてみたおかげか、脚は快調です。
佐渡トライアスロンのときは、太もも前が張っていて、あちこちが、つっていました。

時刻は15時過ぎ。制限時間の20時半まで、5時間半です。
「この調子なら大丈夫かな」と。

1kmを8分でいくと、42.195kmで5時間半くらいです。
通常、フルマラソンでは1km5分半〜6分で走るので、それくらいだとなんとかなります。

無理をせず、1km6分前後で走りましたが、坂が増えてきた4kmから5km地点は、無理せず歩きました。後半に温存するためです。

「上りを歩き、平地と下りはしっかり走る」
という走り方がいいかどうかはわかりません。
心拍や体への影響を考えると、イーブンペースでいった方がいいとも考えられますが、心拍をイーブンにするために、心拍が上がる上りを歩くという考え方もできます。

ただ、9km、10kmくらいになると、徐々にペースが落ちてきました。
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42.195kmには、メンタル、体力、脚の3要素が必要だと考えています。
今回ダメになったのは、体力。
体力というより心拍、呼吸が苦しくて走っていられません。
スイム、バイクのダメージか、補給のやり方がよくないのかわかりませんが、脚とメンタル(気持ち)は前に進んでいても、体が動かなかったのです。

1/3地点で、失速、テーピング

暑さのせい、脱水のせいと思いつつ、補給所で補給をとっても変化はなく、力が戻りません。
いったん立ち止まっても変化なく、シューズを脱いで座りました。

せめて足裏の痛みをやわらげようと、念のためにしのばせておいたテーピングを足裏に貼り、少し休憩。
バイクでつらかった腰の痛みが、ランでは出てこなかったのが救いでした。

体力はちょっと戻った感じです。
タイムロスしましたが、なんとか進みます。
3分の1の14kmを過ぎて、17時前。制限時間まであと3時間半です。

宮古島のコースでは、折り返しの選手とすれ違います。
折り返しはゴール間近。
うらやましいと思う一方で、元気ももらえます。

折り返しで声をかけてくれた、Kさん、Nさん、Tさん、Tさんありがとうございました!

つらくて、気合いを入れるためにおたけびを上げていたら、折り返しの選手にびっくりされることも・・。知人にも見つかりました。
気合いを入れる、というよりも、動かない体、時間に追われている自分が情けない気持ちでいっぱいでした。
フルマラソンと違い、トライアスロンのランは失うものが大きすぎます。
「フルマラソンでリタイア」と比べて、「トライアスロンのランでリタイア」はそれまでのスイム、バイクが水の泡になるのです。

遠征費、エントリー費(フルマラソンより当然高いです)、時間(今回は3泊4日)などが吹き飛びます。
ブログにもどう書こうか・・というのも悩みどころです。

これらのプレッシャーが重くのしかかり、
「もう嫌だ」「次のレース(五島)をどうやってやめようか」
などネガティブに考えてしまっていました。

・残りは、たった28km
・たった3分の2
とポジティブに考える自分と、
・まだ28kmもある
・3分の2もある
・あと3時間半も走らなきゃいけない
とネガティブに考える自分との戦いです。

折り返しまでは、下りが多少あり、なんとかすすめました。
往路が下りということは、復路は上り。
18km地点の下りは、24km地点の上りとなり、ここが最後のふんばりどころです。
ここまで耐えれば完走できる!と思っていました。
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折り返しちょっと手前で、チームメイト(厳密には別チーム)の熊とハイタッチ。
熊はトライアスロン2戦目。ウルトラマラソン完走者として長距離の経験はあるとはいえ、すばらしい走りでした。4kmほど差があることになります。
なんとか抜きたいと思いつつ、少し元気ができました。

折り返しで、残り3時間弱。眠気との戦い

ようやく折り返し。
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あと21km。
まだ21kmもある。

いろいろ考えてしまいます。
この時点で、17時40分。残り時間は2時間50分ほど。
あとは1km8分のペースでいけばなんとかなります。

上りが終わる、耐えるべき25km地点ももうすぐです。

と、思っていたら力がまた抜けました。
いったんとまって回復を試みるも、
21km→22kmに11分も使ってしまったのです。

ひたすら伸びる直線を見て、メンタルもやられました。
眠くもなり、計算する頭の動きも鈍くなって、一時期30分計算を間違えるミスも。
あと、20kmを2時間でいかなければいけない(実際は2時間半)と勘違いして、「もう無理だ・・」と余計に疲弊していました。
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23km→24kmにも、10分使ってしまいます。
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思い浮かべたのは、『キャプテン翼』のこのシーン。
翼がけがでぼろぼろになって、あきらめかけるシーンです。

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今回、腰を痛めていた不安があったので、事前にこの漫画を読んでいました。
けがに負けないようにと。

ただ、悪い方向で思い出してしまったのです。

ボランティアの方に「ここでやめます」って言ってしまえば、楽になります。
やめても、リタイアしてもいいかも・・と思いつつ、なんとか踏みとどまったのは、
・ブログに完走記を書けない
・また、宮古島にこなければいけない(リベンジに)
・ゴールで家族が待っていてくれている
といった気持ちでした。

25km地点の坂

なんとか踏みとどまり、運命の25km地点。
作戦通り歩いて上り、そこから走り出しました。

残り17kmで、2時間ちょっと。なんとかなりそうです。
(この辺で、もうろうとしていた計算間違いに気づきました)

前半耐えに耐えて(投げ出す寸前でしたが)、ようやく来た25km地点。
思い出したのはこのシーン。
ピッコロの攻撃にたえて、悟空が反撃するところです。
(このあと、不意打ち食らいますが・・)

「完走いただき!!」と走り出しました。
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31km地点にちょっとした坂があり、ちょっと歩きましたが、あとは補給所以外止まらず走れています。
暑い中、氷の入った水、コーラ、アクエリアスを準備してくださったボランティアのみなさんに感謝です。
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iPhone SEに切り替え

このくらいで、ガーミン(時計)の電池が切れます。
充電ケーブルを忘れたせいです。。

1kmごとのタイム、時刻をみるのに必須の時計。
ここで、ウェストポーチに入れていたiPhone SEに切り替えます。
Runkeeperアプリをスタートさせ、手に持って走りました。

iPhone 6sからiPhone SEに小さくしておいてよかったです。
愛用のBunkerRingも本領発揮でした。

マイルールを守ること

とはいえ、体力は減っていますので、走るのはつらいです。
マイルールも破りそうでした。
お礼に答えるのがつらすぎるのです。
【関連記事】「ゴミを捨てない」「お礼をいう」「ハイタッチする」。感謝を示すためのトライアスロン・マラソンでのマイルール | EX-IT
リンク

ただ、マイルールは守ってこそ意味があるもの。
これまでのレースでも守ってきたマイルールは守りました。

後半にペースアップし、挨拶を欠かさないすると、いいことがあります。
・選手を抜けるので、モチベーションが上がる
・後半は、選手が疲れ、挨拶や笑顔がなくなるため、目立ち余計に応援してもらえる
・歩いている選手も多い中、ペースアップしていると、目立ち余計に応援してもらえる

「ありがとうございます!」と応援にこたえていると、「伊良部さん?」と呼ばれるシーンも。
「いえ、違います・・」とこたえましたが、「伊良部さん」はおそらく現地の方。やっぱり私は、こちら系の顔のようです。。

「おお、まさひろ!」と呼ばれたことも。
おそらくこちらの方でしょうね。。

なんとか完走

時間を見ながら、最後は少しペースをゆるめてゴールしました。
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陸上競技場を回ってのゴールは格別です。
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スイム3.0km、バイク157km、ラン42.195km。
スイムは1時間14分44秒、バイクは6時間45分43秒。ランは、5時間23分31秒。
トータルでは13時間23分58秒(制限時間13時間半)。

スイム 1322位 バイク1341位 ラン861位 トータル1213位。
ランでちょっと盛り返した感じですが、完走者は1,277名なのでビリに近いです。

レース記録は、こんな感じでした。
スタート時 1546名
スイム棄権 15名
バイク棄権 83名
ラン棄権 171名
完走 1277名(82.6%)

スイムでは、コースロープにつかまっている人も多く、バイクではパンクを修理していている人・バイクを押して歩いている人もいました。
ランでは、脱水症状で病院に運ばれた選手が20人ほどいたようです。
私も脱水だったのかもしれません。
例年よりも完走率は低いものでした。

トライアスロンのロング、万人におすすめはできませんが、普段の生活でここまで心(メンタル)と体を鍛えられることはありません。
失うものもありますが、得るものもあります。
・ちょっとずつ上達していく楽しみ
・身体を動かすことによる気づき(骨、筋肉などに意識が向きます)
・時間管理、お金管理スキルの向上(時間、お金を使うので)
・食生活の見直し
・ゴールの達成感

ちょっとでも興味がある方は、二度とない人生で、トライアスロンを目指していただければ。
ロング(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)をやるかどうかは、それから決めればいいかと思います。

日本で開催されるロングは、
・宮古島
のほか、
・佐渡
・五島(長崎)
そして、皆生(鳥取)。
宮古島、佐渡、五島は完走できたので、来年は皆生を制覇したいと思っています。
※私が2014年に出た、北海道(洞爺湖)のアイアンマンジャパンは、契約の関係で、今年から開催されません。

今回、けが、練習不足、ミスなどもりだくさんで反省点は多いです。
今年の残りのレース、大島、五島、宮崎できっちり借りを返します。

応援してくれた友人、知人、家族に感謝です。
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今回で宮古島トライアスロン完走記を終わります。
次回以降出場される方の完走の手助けになれば幸いです。

前のエントリ

宮古島トライアスロン参戦ガイド[宮古島トライアスロン2016完走記①]
トライアスロンで水中バトルを避ける工夫[宮古島トライアスロン2016完走記②]
バイクの性能の違いが、戦力の決定的差ではない[宮古島トライアスロン2016完走記③]

■過去のロングトライアスロン参戦記
五島2013
【関連記事】集中連載「鉄人への道」Vol.01 トライアスロンデビューは海が怖くてリタイア | EX-IT
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アイアンマンジャパン2014
【関連記事】アイアンマンジャパン完走記 洞爺湖入りからスタートまで | EX-IT
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五島2015
【関連記事】バラモンキング(五島トライアスロン)参戦ガイド。申込・交通・宿【バラモンキング2015完走記①】 | EX-IT
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佐渡2015
【関連記事】佐渡トライアスロン2015。時間にこだわる男が時間に追われまくった話。 | EX-IT
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【編集後記】

昨日は、新刊キングダム42巻を入手。
Kindle版で欲しいのですが、Kindle発売は1ヶ月後・・・。
しかたなく、紙で買う→売る→Kindle版を買うを繰り返しています。
出版社の戦略にまんまとはまっていますが。

【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」

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