間違ってはいけない勘定科目の例。損益計算書と貸借対照表をまたがる間違いに注意。

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会計ソフトにデータを入力する場合、勘定科目というものを使います。
この勘定科目、間違っても問題ないものもあれば、間違ってはいけないものもあります。
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※自宅にて iPhone SE

勘定科目の基本

会社、個人事業の状況、成績は、数字で表現されます。

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このときに、「普通預金」「売上高」といった項目で区分けし、わかりやすくするためのものが勘定科目です。
データを入力するときに、これらの勘定科目を使います。

この勘定科目は、ある程度のセオリーはありますが、自由に決められる部分も多いです。

たとえば、「家賃が引き落とされた」という場合は、「地代家賃」と「普通預金」(通常、預金ごとのコードをつけます)という勘定科目を使います。

この「地代家賃」を「オフィス家賃」「事務所家賃」「店舗家賃」としてもいいですし、「社宅家賃」とわけてもかまいません。

ただし、家賃なのに、「支払手数料」をしてしまっていたら、数字を正しく見ることができなくなります。

自分が決めたルールで、毎日、毎月入力できているかを確認しましょう。
(金額が小さければ問題ありません)

そんな中でも間違っていてはいけないものもあります。

間違ってはいけない勘定科目

損益計算書内で間違った場合

売上から経費(販管費)を引いて利益を出す、損益計算書。
左側が勘定科目を正しく入力したもので、右側は、間違えて入力したものです。
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「会議費」とするところを「支払手数料」にしてしまったので、それぞれの数字が変わってしまっています。
ただ、これはどうでもいいのです。
(金額にもよりますが)
どっちにしても、利益は変わりません。

※厳密には、営業利益、経常利益が変わる場合がありますので、雑収入や支払利息や固定資産売却損は間違えてはいけませんが、それでも利益は変わりません。

損益計算書と貸借対照表間で間違った場合

問題となるのは、たとえば、「消耗品費」とするのを「工具器具備品」としてしまった場合です。

左側が正しいもの、右側が間違ったもの。
「消耗品費」が10万円減っています。
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経費が10万円増えたため、売上ー経費で計算する利益が10万円増えてしまうのです。
利益が増えると税金も増えてしまいます。

厳密な処理は理想的ですが、利益、そして税金を間違えないようにするのが現実です。

ただ、この「消耗品費」はどこにいったのでしょう。
事業の数字は、必ず2カ所変わります。

変わったのは、損益計算書ではなく、もう1つの貸借対照表(現金、預金、未払金、借入金などの状況を表示する表)です。

左が正しいもの、右が間違ったもの。
「工具器具備品」が10万円増えてしまっています。
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勘定科目を間違ってはいけないのは、損益計算書と貸借対照表をまたがるものです。
損益計算書は、次の年(事業年度)になれば、リセットされます。

12月決算で、1/1〜12/31が1つの事業年度だとすると、左が2016年12月31日時点、右が2017年12月31日時点です。

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一晩たち、貸借対照表は、そのまま引き継がれます。
現金や預金がゼロにリセットされると困るはずです。

損益計算書は、リセットされ、1月1日から新たに積み上げていきます。

引き継ぐ貸借対照表と引き継がない損益計算書。
勘定科目でこれらをまたがるような間違いをすると、まずいわけです。
利益が変わってしまいます。

・利益を間違えない
・税金を間違えない
ことを考えつつ、
・自分が見やすい、わかる勘定科目
にしましょう。

勘定科目を間違ってはいけない例

利益が変わってしまうような間違いとしては、次のようなものがあります。

B/S「売掛金」→P/L「売上高」

「売掛金」ですでに入力しているのに、それが入金されたときに、「売上高」としてしまうと、「売上高」が二重になってしまいます。

B/S「買掛金」→P/L「仕入」も同様です。

B/S「前受金」→P/L「売上高」

前受で受け取った売上代金を、「前受金」とせずに、「売上高」にしてしまうと、売上が増えてしまいます。
毎月、この処理をやると大変であれば、決算の時だけやれば大丈夫です。

B/S「未払金」「未払費用」→P/L経費

「未払金」や「未払費用」ですでに入力しているのに、さらに、経費で入力すると、ダブってしまいます。

P/L「消耗品費」→B/S「工具器具備品」

青色申告をしていれば、1組30万円未満のPCや消耗品、ソフトを経費、つまりP/L「消耗品費」にできます。
(年間300万円まで)
これをやらずにB/S「工具器具備品」や「ソフトウェア」にすると、経費になりません。
(白色申告の場合、10万円未満なら経費になります。)

B/S「預り金」→P/L「租税公課」

給料から天引きした源泉所得税や住民税の支払いは、預かったものを払うだけですので、「預り金」です。
これを「租税公課」にしてしまうと、経費が増えてしまいますし、「預り金」の残高が残ってしまいます。

B/S「未払法人税等」→P/L「租税効果」(「法人税、住民税及び事業税」)

法人税等の税金は、前期に「未払法人税等」と入力するのが正しい処理です。
支払いの時は、その「未払法人税等」で処理します。
これを「租税公課」とすると、経費が増えてしまうのです。

B/S「敷金」→P/L「地代家賃」

家賃のうち、敷金・保証金(退去時に戻ってこない分)は、家賃に含めてしまうと、経費が増えてしまいます。

P/L「支払利息」→B/S「長期借入金」「短期借入金」

借入金の返済で、利息も含めて口座から引き落とされる場合は、「支払利息」と「長期借入金」にわけないと、利益が変わってしまいます。

103,458で、借入金が100,000、利息が3,458のような場合です。

チェックする際には、貸借対照表をチェックしましょう。
損益計算書だと間違いがわかりにくいです。

貸借対照表で、
・マイナスのものがないか
・「なんだこれ?」というものがないか
・内訳を調べると多すぎる、少なすぎるものがないか
をチェックしましょう。

会計ソフトでは、通常、このように縦に並んでいます。
預り金がマイナスですので、間違っている例です。
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新版『ひとり社長の経理の基本』には、勘定科目大事典をつけました。
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表は、「経費かどうかがわかるシート」です。
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【関連記事】経理がグッとラクになる!フリーランスの勘定科目大事典
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【編集後記】
昨日は平日扱い。
普通に仕事をして、15時からは自宅に来てくれた甥っ子たちと過ごしました。
ゲームの話ばかりしてましたが。

【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」

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