・研修等を行うと法人税の控除を受けることができる制度

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昨日,ご紹介いただいた社労士さんの事務所を訪問し,
中小企業緊急雇用安定助成金
などのお話を伺ってきました。
従業員を一時的に休業,教育訓練又は出向をさせた場合に,
助成金が支給される制度です。
教育訓練に関しては税金にも優遇措置があります。
今日は教育訓練費にかかる法人税の優遇措置の話です。
以前からある制度ですが,整理してみました。
1 制度の概要
一定の要件を満たす法人が従業員の研修等の費用を負担した場合,その負担した金額の一部を
法人税から控除できる制度です。(平成23年3月31日までの間に開始する事業年度)
2 要件
この制度の要件は次の5つです。
(1)青色申告を行う中小企業者(資本金の額等が1億円以下の法人等)であること
(2)教育訓練の対象者が次の要件を満たすこと
 ・役員ではないこと
 ・役員の親族など役員と特殊関係のある使用人又は使用人兼務役員ではないこと
  ※パート・アルバイトの方も対象となります。
(3)教育訓練費を支出していること
 教育訓練費とは次のようなものをいいます。
 ・自社で行う場合→講師への報酬,設備の資料料
 ・外部に依頼する場合→外部への支払費用(参加する従業員に関する授業料,受講料など)
 ※交通費は含みません。
 ・教材などの購入費,教材製作を外部に委託する場合の製作費用
(4)教育訓練費割合が次の条件を満たすこと
EX-IT|
 ※労務費→給与+賞与+法定福利費(事業主負担分)+教育訓練費
 教育訓練費割合とは,労務費のうちに占める教育訓練費の額の割合です。
 これらの金額は1年間(事業年度)で計算します。
 例えば,労務費が1億円だと 
 年間15万円以上の教育訓練費を支出した場合に上記の式を満たします。
 概算で1人当たり年間1万円弱の支出です。(全員が参加するかどうかにもよりますが)
(5)確定申告書に所定の事項を記載した明細書を添付すること
 所定の事項とは,教育訓練の実施日,内容,参加者名などです。
控除される金額
 次の2つの場合に応じて,控除される金額を計算します。
 A 教育訓練費割合が0.25%以上
 →教育訓練費の額の12%相当額
 
 B 教育訓練費割合が0.15%以上0.25%未満
 →教育訓練費×{(教育訓練費割合-0.15%)×40+8%}
 例えば,労務費が1億円であり,教育訓練費が100万円だと,
 教育訓練費割合=1%
 →Aに該当し,教育訓練費の額の12%相当額が控除
 →100万円×12%=12万円
 の法人税が控除されます。
 法人税の控除ですので,
 法人税が発生しない場合は効果がありません。
 あくまで発生した法人税が控除されるものです。
 
 また,法人税額の20%という限度もあります。
 限度を超えた分は次年度への繰り越しが可能です。
 ただし,1年しか繰り越すことはできません。
控除される金額の計算は複雑ですが,
決算書(P/L)の従業員への給与,賞与,法定福利費を合計し,
そのうち,どのくらい教育訓練費を使っているかを確認してみましょう。
教育訓練費を
会計データから抽出できるようにしておく(補助コード,摘要等の工夫)か,
独立した科目で計上しておけば, 金額の判定が楽になります。
☆2/28(日)「決算書を読むための法人税の知識」勉強会 開催します 
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【編集後記】
昨日の夜,Mac Bookを購入しました。
3時間ほど使ってみましたが,Windowsとはまた違った面白さがあります。
いろいろ覚えなければいけないことも多いのですが,それが楽しかったりします。
次回開催する勉強会でKeynote(Macのプレゼンテーションソフト)を使うことを目指します!
EX-IT|
【読み終わった本】

創造する経営者 (ドラッカー名著集 6)/ピーター・F・ドラッカー
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原題はManaging for Results。
成果を上げる経営を行うために経営者が何をすべきか
について書かれた本。
ドラッカーの本は,読むのに時間がかかりますが,
それだけ得るものも多いです。

勝間さん、努力で幸せになれますか/勝間 和代
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『しがみつかない生き方』の香山リカさんと
『やればできる』の勝間和代さんの対談本です。
努力,幸せをキーワードに両極端なお二人の対談は
非常に興味深いものでした。
個人的にはどちらが正しいわけでもなく,
本書の「それぞれの人が自分の中に遊軍があればいい」という言葉通り,
人生,仕事において自分なりのバランスを見いだすことが
重要かと思います。

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