・税理士事務所IT化コンテストのプレゼン内容

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税理士IT化コンテスト、無事終了しました。
結果は3位。
優勝を狙っていたので、やや消化不良ですが、27人の方に投票していただけたのはありがたいです。
来場してくれた友人・知人で投票したくださった方は6票なので、健闘した方かなぁと思います。
120名くらいの会場が終日満員でした。
税理士業界の注目度の高さが伺えます。
年齢層は、ちょっと高めでしたね。
それを予想して、内容はオーソドックスに見せ方を工夫しましたが、力不足でした・・・・・・。
会場には友人の古田さんと福田さんも来てくれました。
お二人は記事にもしてくれています。ありがたいです。

・二代目税理士まゆみの日記/税理士事務所IT化コンテスト


・福田真弓のブログ「一歩前へ」/税理士は誰でも同じ?

その他ブログ、Twitterでつながりのある方も(お名前を出していいかわからないため匿名で)
写真は古田さんブログからお借りしました。
$EX-IT|
プレゼン内容を動画に変換したものをYoutubeにアップしました。
また、今回のプレゼンをテキストに書き起こしたものを掲載します。
音声付きの動画にすればいいのでしょうが、全体の雰囲気だけでもつかんでいただければと思います。

【プレゼン概要】
IT化により3つの作業を減らそう
イントロ
こんにちは、税理士の井ノ上陽一と申します。本日は、「IT化により3つの作業を減らそう」というテーマで、お話しさせていただきます。
税理士事務所の業務とは
税理士事務所の業務には大きく分けると2種類あります。
1つは作業的な業務。時間や手間のかかる業務です。例えば会計データの入力・チェックや決算書や申告書などの作成などをいいます。
もう1つはクリエイティブな業務。クリエイティビティ、創造性が求められる業務です。例えばクライアントへの節税や業務効率化の提案などをいいます。
これらの2つの業務のうち、クライアントに求められる業務はどちらでしょうか?時間に追われ、大変な思いをする作業よりも、新しい提案のためのクリエイティブな業務の方が、クライアントに求められています。
限られた時間・人員・コストで、税理士事務所が提供するサービスの質を高めるには、作業を減らし、クリエイティブな業務に時間・労力を割くことが必要となります。
それを可能とする方法がITです。
今回、ITにより減らすことができる作業を3種類取り上げました。
資料の作成、資料の整理、情報管理です。
この画像は私のデスクです。IT化をすすめると、このようにシンプルなデスクとなります。
後ほど、この画像を使ってIT導入事例についてご説明していきます。
3つの作業
1. 資料の作成
では、1つめの作業、資料の作成からお話ししていきます。
資料の作成で重要なのは、効率を上げること、コストをかけないこと、ストレスのない方法で行うことの3つです。
これらの観点から事例をご紹介いたします。
○デュアルディスプレイ
1つめはデュアルディスプレイです。
2つのディスプレイ(モニタ)を使ってPCの作業を行います。
1つのディスプレイで作業を行うよりも画面も見やすく、効率が上がる方法です。
ノートパソコンには、会計ソフトとExcelが表示されています。
この後ろにあるのが、もう1つのモニタです。
Excelをこのモニタに移動させます。
このように会計ソフトとExcelを同時に表示できます。
ノートパソコン上でも当然同時表示はできますが、それぞれの画面は小さくなってしまいます。デュアルディスプレイだと大きな画面で比較することができるのです。
会計ソフトとExcelという組合せの他、ワードとエクセル、会計ソフトと申告ソフト、ネットとワードなどといった組合せも可能です。もちろんExcelを2つ開いて、作業することもできます。
これがデュアルディスプレイです。
○Excel
次にお話しするのはExcelです。
Excelのメリットはなんといってもコストが安いこと。
今やほとんどのパソコンに入っています。
高額なシステムを購入しなくても、Excelを活用すれば、決算予測、納税予測、資金繰りなどが可能です。
Excelスキルで重要なのは、ショートカット、数式・関数、グラフ、ピボットテーブルです。
さらには会計ソフトのデータを活用することができます。
Excelで作成したデータを会計ソフトに取り込むことができます。Excelで作った現金出納帳、売上管理表、経費精算書などを加工するとそのまま取り込めます。
会計ソフトで入力するよりもEXCELで入力し取り込んだ方が効率的な場合が多いです。
また、会計ソフトのデータをExcelに変換することができます。
仕訳データをExcelで集計したり、試算表データを見やすいデザインにしたり、推移表データで決算予測データを作ったりすることができます。
○ PC
次はPCの話です。
ノートPCだとクライアント先で作業ができますし、画面を見せながらの打ち合わせもできます。
今のノートPCは低価格、高性能、軽い、長時間使用という特徴がありますので、十分業務に使えます。
ただ、どうしてもPCは消耗してしまいますので、1年~2年に1回は買い換えをオススメします。
遅いPCでいらいらしたり、時間をロスする方が大きな損失です。
20万円のPCを買って、2年間、月20日間使った場合、1日当たりのコストは416円となります。
1日あたり416円で快適な環境を作ることが可能です。
人件費や効率を考えると安い投資ではないでしょうか?
マウスも価格により操作性が変わります。私が使っているのは1万円のマウスです。
マウスパッドが必要なく、コードもありません。もちろん操作性は優れています。
安いマウスだと、動かしたいと思ったときに反応してくれなかったり、マウスパッドがないところでは、使えなかったりします。
そういったストレスを考えると、リターンの高い投資です。
ここまでが資料の作成に関するITの導入事例です。
次は、資料の整理についてお話しします。
資料の整理
資料の作成で問題となるのは、資料を探す時間、保管場所、機密資料の管理です。
これらの観点から事例をご紹介いたします。
○e-Tax
まずe-Taxです。
税理士事務所のIT化には欠かせません。
このe-Taxを行うと,郵送の手間を省くことができますし、PDFファイルでPCに保存すれば、保管場所の問題も解決できます。
紙の資料というのは管理がむずかしいものです 。
紛失の可能性もありますし、場所も必要となります。
できるだけ紙をなくすというのが資料の整理上、重要です。
私のデスクは通常、紙の資料はこれだけしかありません。
直前に使うべきものや事務所の領収書ファイルだけです。
申告書・決算書控をはじめとするクライアントの書類などはすべてデータ化しています。
e-Taxであれば、直接データで保管することができますが、その他の紙の書類は、このスキャナーでスキャンしデータ化しています。
私が使っているのはScansnapというものです。
拡大するとこんな感じです。
私が購入したのは3年前で、当時5万円ほどしましたが、今はもう少し小型化し、2,3万円のものがあります。
紙を入れボタン1つで、紙の資料をPC上のデータにできます。書類だけではなく、雑誌の切り抜き、書籍もスキャンしています。ちょっとしたものならカメラで写真にしてPCに保存してます。
このスキャナー、非常に便利なものですが、スキャンした紙はどうすればいいのでしょうか?
機密資料であれば、そのままゴミ箱に捨てるわけにもいきません。
○文書回収サービス
通常はシュレッダーを使います。
しかし、シュレッダーは、時間や手間もかかりますし、設置スペースの問題もあります。
そこで、利用したいのが文書回収サービスです。
文書回収サービスで例を挙げると、クロネコヤマトの機密文書リサイクルサービスというものがあります。これは不要になった紙を段ボールに入れて、回収してもらい、溶解処理をしてもらうサービスです。1箱は送料・箱込みで1,800円です。
○データの整理
今度はPCにスキャンしたデータのお話です。
せっかくデータ化しても、PC上で探し出せなければ意味がありません。
データの整理はフォルダで管理されている方が多いかと思います。
しかし、フォルダに頼りすぎると、どこのフォルダにデータを入れたか分からなくなったり、似たようなファイルを作ってしまったりすることがあります。
そこでフォルダの管理だけではなく、検索を使うことをおすすめします。
今のPCの検索スピードは優れていますし、専用のソフトもあります。
検索するには、検索しやすいようにファイル名を付けることが必要です。このファイル名のルールを事務所全体で決め、そのルールで運用すれば検索しやすくなります。例えば、クライアント名+日付+プロジェクト名です。
以上が資料の整理に関する事例です。
情報管理
3つめは情報管理です。
情報管理で重要なのは、メール、やるべきこと、スケジュールの管理です。
○メール
メールはgmailというgoogleのサービスを使っています。
これは、インターネット上でメールを送ったり、受け取ったりすることができるサービスです。
無料であり、事務所アドレスでも送受信できます。
迷惑メール対策も優れています。他のメールソフトでは受信してしまうメールもかなりの確率で迷惑メールとして処理してくれます。
インターネットですので、どこでも送受信ができます。PC、iPhone、携帯など、どんな端末でも使えますし、どこでも使えます。「事務所に戻らないとメールの確認ができない」ということも一切ありません。
非常に便利です。
○ タスク管理
次はタスク管理です。
タスク管理とは、いわゆるTODOリストです。
やるべきことをPCなどに入力し、完了したらチェックします。
タスク管理でおすすめなのが、GTDという手法です。
この手法はまずメモやボイスメモ、入力によりタスクの収集だけをします。次にそのタスクをすぐやるのか、特定の期日にやるのか、期限はいつか、人に任せるのかなどを決めます。
その後、実行するという手法です。
特徴的なのは、タスクの収集にのみ徹底的に専念すること。通常は1つのタスクを行っているとときに、タスクを思いついたらすぐに実行してしまいます。そうすると、それまでやっていたタスクが中途半端になってしまうのです。
そのため、タスクの収集と整理の段階を分けています。気になることはすべて記録しておけば、安心して目の前のことに集中できるのです。
○スケジュール管理
スケジュール管理は、グーグルカレンダーを使っています。
これもインターネット上のサービスです。どの端末からでも、どこでも入力、閲覧ができます。
さらには、スケジュールを共有できます。事務所内でスケジュールを共有しておくと、誰が何をやっているか分かります。会議の時間もぐっと減らせます。
また、インターネット上で管理しておくと、過去のスケジュールを見ることができます。
通常の手帳と異なり、1年前、2年前のスケジュールを瞬時に見ることが可能なのです。「去年の今頃、何をやっていたかなぁということを確認できます。
今お話ししたメール、タスク管理、スケジュールはすべてクラウドと呼ばれるサービスを使っています。インターネット上にデータがある状態を雲に例えています。
iPadでも、iPhoneでも、PCでもデータを入力、閲覧することができるのです。
IT導入のために重要な3つのこと
これまで見てきたとおり、これらの作業を減らすためにITは必要です。
しかし、IT導入には3つ重要なことがあります。
1つめは思考、考え方の切替です。
マトリックスで示すと、いくらITを購入しても、考え方を新しくしなければその効果は得られません。ITに合わせた新しい思考が必要なのです。
アナログで新しい思考を取り入れたものも効果があります。
2つめはトライアンドエラー、試行錯誤です。
新しいモノは試してみなければ分かりません。さらに導入には、最初だけ一定の時間や手間がかかります。試行錯誤しながら、自分にあった方法を探すことが必要となります。
3つめはトップダウンです。
IT化は事務所のトップが率先してやらなければいけません。今従業員の方は、少しずつトップに働きかけることが必要となります。どうしてもダメなときは独立しましょう。
まとめ
日々の作業に追われないようにするには、IT化が必要です。
誰でもできる仕事、時間がかければできる仕事だけをやっていては、これからは取り残されてしまいます。
ITでできることはITで行いましょう。
そして人間にしかできないクリエイティブな業務に時間や労力を割くべきです。
税理士業界は、まだまだ甘やかされている業界ですが、そのうち従来のやり方では報酬をもらえなくなる時代が来ます。
ITをうまく活用し、作業を減らし、クリエイティブな業務を行っていきましょう。それがクライアントへのサービスの質を高めることにつながります。
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【編集後記】
プレゼン後も声をかけていただき、非常にありがたいです。
会場にある書店で本を買ってくださった方もいました。
プレゼン中も熱心に聞いてくださり、優勝できなかったのは残念ですが、出場してよかったなぁと思います。


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