・「まさかのとき」に役立つ経営セーフティ共済 その1 現行制度の確認

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経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)という制度があります。
取引先が倒産したときに備えた共済制度です。
万が一、取引先が倒産した場合は、一定の貸し付け、つまりお金を借りることができます。
この制度が改正され、10月1日から施行されます。
今回の記事では現行制度を確認し、次回の記事で改正内容を取り上げます。
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【今日のテーマ】

・「まさかのとき」に役立つ経営セーフティ共済 その1 現行制度の確認

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現行の制度の概要
現行の制度を再度確認しておきましょう。
1 加入資格
次のすべての条件を満たす場合、加入できます。
・個人事業主又は法人その他組合等
・1年以上事業を行っている
・次の表による「資本金の額」又は「従業者数」のいずれかの要件を満たす

業種 資本金等の額 従業員数
製造業、建設業、その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
ゴム製品製造業
(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く。)
3億円以下 900人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

(中小企業庁HP http://www.smrj.go.jp/tkyosai/050947.htmlより転載)
2 掛金
現行の制度では、月5,000円から8万円までを選ぶことができます。(5,000円単位)
掛金は、総額320万円まで積み立てることが可能です。月8万円だと40ヶ月積み立てることができます。
掛金は月払いでも、一括払いでも可能です。
この掛金は全額経費にできます。
(一括払いは40ヶ月までできますが、支出した事業年度に経費とできるのは12ヶ月分のみです。)
3 借入金
(1)概要
万が一、取引先が倒産、又は売掛金等が回収困難となった場合、借り入れすることができます。
借入できる金額は、売掛金債権等の金額と掛金総額の10倍のいずれか少ない金額です。
例えば、売掛金1,000万円が回収困難となり、掛金総額が320万円だったとします。
売掛金1,000万円と3,200万円(掛金総額×10)のうち、少ない方ですので、1,000万円を借り入れることができます。
売掛金5,000万円が回収困難となり、掛金総額が320万円だったとします。
売掛金5,000万円と3,200万円(掛金総額×10)のうち、少ない方ですので、3,200万円を借り入れることができます。
(2)借入の際に注意すべきこと
注意すべき点は次の6つです。
・倒産とは、次のような状態をいいます。
 破産手続開始等の申し立てがされた場合
 手形交換所の取引停止処分を受けた場合
 一定の私的整理があった場合(平成22年7月以降)
 災害による不渡り等
 夜逃げや一定の条件を満たさない私的整理の場合は該当しません。
共済に加入後6ヶ月が経過していることが条件です。
・当然、掛金の納付をしていることが条件です。
・対象となる債権は、売掛金、前受金返還請求権に限ります。貸付金、不動産賃貸料などは対象になりません
(3)借入の条件
・返済期間及び返済方法
5年間です。据置期間=返済のない期間が6ヶ月あるため、実質54ヶ月での均等返済となります。
・利率
無利子です。ただし、借入金の10分の1が掛金から差し引かれます
借入金が1,000万円だった場合、借入金の10分の1である100万円が掛金総額から差し引かれます。
この100万円を利息を考えるなら、若干高い利率となります。
・担保、保証人
無担保、無保証人で借りることができます。

6 解約手当金
途中で解約した場合も、掛金納付月数及び解約理由により、解約手当金が戻ってきます。
みなし解約とは、個人事業主が亡くなった場合、法人解散の場合、中小機構解約とは12ヶ月以上掛金の払い込みが滞った場合などをいいます。
40ヶ月以上掛金を納付していれば、任意解約でも100%戻ってきます。

掛金納付月数 任意解約 みなし解約 機構解約
1ヶ月~11ヶ月 0% 0% 0%
12ヶ月~23ヶ月 80% 85% 75%
24ヶ月~29ヶ月 85% 90% 80%
30ヶ月~35ヶ月 90% 95% 85%
36ヶ月~39ヶ月 95% 100% 90%
40ヶ月以上 100% 100% 95%

7 一時貸付金
倒産等の事実がなくても一時的に借入をすることができます。
借り入れることができる金額は、掛金納付月数と掛金総額により決まります。
解約手当金の95%を借りることができます。
返済期間は1年、一括返済で利率は年0.9%です。

活用方法

経営セーフティ共済の活用方法は2つあります。
1つは、取引先倒産によるリスクの回避です。
入金サイトの確認、未回収の売掛金のチェック、未回収の場合の催促など売掛金管理を徹底するとともに、経営セーフティ共済に加入し、万が一に備えておくのもよいでしょう。
万が一の借入や一時貸付金の制度を利用することができます。
あくまで借入である点を忘れないようにしてください。
もう1つは、一時的な節税です。
掛金が全額経費にできること、一括納付ができることから、節税に使われるケースがあります。
例えば、今月(2011年9月)決算の場合、加入して一括して納付すれば、掛金全額が経費となり、税金を減らせるわけです。
現行の制度だと96万円(月8万円×12)を経費に落とすことができます。
解約した場合は、その解約金が収入となってしまいますので、あくまで一時的な繰り延べにしかならない点に注意してください。

改正点及び手続きについては、明日取り上げます。
・「まさかのとき」に役立つ経営セーフティ共済 その2 2011年10月からの改正内容
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【編集後記】
今シーズン、もうちょっとレースに出ておきたいと思い、アクアスロンに申し込みました。
スイム1.5km+ラン10kmのレースです。
スピードはともかく距離はなんとかなるかなぁと思っています。

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