効率化には敵がわんさかいます。
そのうちの1つは、スペース(空白)です。
※コワーキングにて Pixel 3
人にスペースは見えない
たとえば、
3
と
3
は、同じに見えるはずです。
上の3は、「3」、下の3は、「3 」 なのですが、人の目にはどちらも3に見えますし、なんら問題はありません。
どちらも「Excel」に見えます。
これは、平成26年1月14日と読めるはずです。
ITで効率化する場合、人の目だけで判断していると、思わぬトラブル、エラーにつながるので気を付けなければいけません。
PCは、スペースがあると別物とみなす
人ではなく、PCでは、スペースがあると別物とみなします。
この場合、下は、「Excel 」です。
「もし、Excelだったら1、そうでなかったら2」という数式を入れてみると、違った結果になります。
これを防ぐには、
・スペースを入れないようにする
・置換で、スペースを消す
・TRIM関数(空白を消せる)で処理する
といった方法しかありません。
ただ、手間がかかるのは事実です。
先日あったのは、こういった事例。
Excelにあるデータ(確定申告)を読みとって、
ブラウザの確定申告書作成コーナーへ自動入力するプログラム(RPA)をつくっていました。
源泉徴収票の居住年月日を入れるところでエラーが起きたのです。
通常は、こういうプログラムで、月を入れることができます。
row(”月”)は、Excelの「月」の列のデータを意味しており、この場合は、そのデータと同じものをブラウザで選ぶという意味です。
基本的なプログラムですし、なんら問題はないはずなのですが、ここでエラーが出てプログラムは止まってしまいます。
あきらめかけたところ、ふと見ると、なんだか1から9の数字が変です。
左に寄っています。
ひょっとして……と思って確かめてみると、1から9は、後ろにスペースが入っていました。
Excelに入っているデータには、当然スペースが入っていませんので、該当する数字はないということになります。
プログラムをこう修正すると、うまくいき、自動化できました。
さきほどのものに、+で半角スペースをつけているわけです。
ただ、これだと、1から9のときは動きますが、10以上のときは、エラーがでます。
ソフトでは、「10 」ではなく、「10」となっているからです。
結果的に、こういった処理をしなければいけません。
Excelデータから取り出したものを数値に変換して、9より大きかったら、そのままで、そうでなかったら半角スペースをくっつけるという処理をします。
効率化はあくなき戦い、執念です。
人がPCに合わせる=ルール化が効率化の鍵
たった1つのスペースで、PCは動かなくなります。
だからといって、
・PCは信用できない
・手でやったほうがいい
・PCは怖い
となるのは、ちょっと違うでしょう。
PC、IT、AIはそういうものであり、ルールが決まっているものなのです。
人がPCに合わせることで効率化は実現します。
効率化の敵は、いつだって人です。
PCの中のソフトも人がつくりだしています。
上記の例でも、Excelに入れたのは人ですし、1から9にスペースをくっつけて2桁にしているのも人です。
しかしながら、普通に入力していたら問題となりません。
今回のようなスペースは、効率化しようとするときに問題となります。
もちろん、確定申告書作成コーナーは、人の目で見て人が入力するものですし、今回のような自動化は誰もやっていないでしょうし、想定していないでしょう。
ExcelでもIFやVLOOKUPを使ったり、他のソフトとデータ連携しなければ問題になりません。
ただ、いざ効率化しようとすると、間違いなく壁として立ちふさがります。
スペースでも全角と半角でもまた違ったものになるわけです。
これは見た目でも違いますが。
ファイル名を付けるときも気を付けなければいけません。
効率化は、こういったルールを人が守るかどうかで決まります。
人がPCに合わせるしかありません。
そのかわり、PCで効率化できれば、ミスなく、大量の処理をこなしてくれるのです。
前述の確定申告も、プログラム修正後は、どんなに量があってもミスなくこなしてくれます。
(そんなに量ありませんけど、うちは)
この「人が守る」というときに、PCのソフトやサービスも人がつくったものということを忘れないようにしましょう。
自動的にソフトができあがる時代にはまだやっていません。
効率化は、
・人(自分)がまずルール化
・周りの人へルール化を依頼(それとなく)
そして、人がつくったソフトとの戦い
があります。
前述の例の別のコーナー(ふるさと納税=寄附金)では、1から9の数字が左に寄っているのですが、これは半角スペースではありません。
単に寄っているだけで、Excelからの取り出した月や日がそのまま入ります。
こういうふうにルール化されていないことは多いものです。
効率化するには、こういったものとも戦わなければいけません。
「ルール化していないと効率化できない」を実感するためにも、プログラミングはおすすめです。
(気になることも増えますが)
■編集後記
昨日は、お客様先での仕事でした。
会社の案件にくわえて所得税、相続税の案件も。
■昨日の「1日1新」
保育園 部屋替え
■昨日の娘日記
動物の鳴きまねをするとよろこびます。
が、きりん、もぐら、くまなど鳴き声がないものは困りものです。
■著書
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