・減価償却費の計算方法が変わり、税負担が増える【平成23年税制改正解説その9】

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会計上、減価償却という考え方があります。
長期間にわたって使用できるモノを買った場合には、その買った金額を一括で費用にせず、使用できる期間に按分して費用にしましょうという考え方です。
本来は、何年使用できるかを見積もり、その期間で費用にするのですが、任意に費用を増やすのを制限するために、税金上の規定があります。
勝手に経費を増やさないようにするためです。
平成23年税制改正では、その減価償却の規定に改正がありました。
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【今日のテーマ】
減価償却費の計算方法が変わり、税負担が増える
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対象となる方

すべての法人・個人事業主
現在の規定
税法上、減価償却は、資産ごとに前述の使用できる期間(「耐用年数」といいます。)が定められています。
例えば、通常の車であれば、6年です。(新品の場合)
「この車は、4年しか持たないよ」といい、4年で減価償却することはできません。
減価償却の方法
減価償却の方法には、主に定額法と定率法があります。
定額法とは、毎年一定の金額を減価償却費として計上する方法です。
例えば、600万円の車を定額法を使って6年で減価償却すると、初年度は、年間約100万円の減価償却費を計上します。
(年の中途の場合、月割りとなります)
一方、定率法とは、資産の価値に一定の率をかけた金額を減価償却費として計上する方法です。
例えば、600万円の車を定率法を使って6年で減価償却すると、初年度は、年間約250万円の減価償却費を計上します。
(年の中途の場合、月割りとなります)
定率法の場合、徐々に減価償却費は減っていきますが、早期に経費を計上できるというメリットがあります。
経費を計上できるということは税金も減るということです。
上記の例の計算をもう少し細かく見ると、次のようになります。
・定額法 6年
 率 1/6=0.167(6等分)
 減価償却費 6,000,000×0.167=1,002,000
定率法 6年
 率 0.167×2.5=0,417(定額法の率の2.5倍)
 減価償却費 6,000,000×0.417=2,502,000
改正後
税制改正後は、定率法の率が変わります。
上記の例のように、現在、定率法の率は定額法の率(0.167)を2.5倍をしたものです。
改正後は、定額法の率を2.0倍します。
 率 0.167×2.00,334(定額法の率の2.0倍)
 減価償却費 6,000,000×0.334=2,004,000
改正前と比べると、減価償却費が約50万円減ってしまいます。
この分、税金も増えるわけです。
税率を40%とすると、約20万円税金が増えます。
いつから?
平成23年4月1日以降取得の資産から適用されます。
ただし、経過措置で、平成23年4月1日以前に開始した事業年度は、その終了時まで現在の償却率を適用できるようになる予定です。
解説
税制改正大綱では、「税率引下げに併せて、課税ベースの拡大を行います。」として、減価償却を見直したと言っています。
ようは、「法人税を下げたから、その代わり減価償却費を上げるよ」ということです・・・・・・。
資産を購入するということは、まとまった金額の支出、又は借入による負担増があるわけです。
どちらかというと、減価償却費を早期に計上させ、税負担を減らすべきであると思います。
今回の改正はそれに逆行していますが。
一見地味な改正ですが、資産(機械、車両、備品等)が多い会社は、この改正による税金の増加は無視できないものとなります。
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※平成23年の税制改正は、国会で正式決定してからの実施されますが、例年、ほぼ、この案どおり決定されております。
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【編集後記】
昨日の夜は、急遽妹宅へ。
TVとブルーレイレコーダーが届いたが、設定がわからないとのこと。
「甥っ子にも会えるし、いっか」と思い、行ってきました。
甥っ子2人の妨害もありながら、無事設定は完了。
小学校の頃にファミコンの接続をして以来、こういうのは得意にしています。

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