給与の経費と事業の経費

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税金を計算する際に「所得」という概念があります。
経営者をはじめ従業員の方は給与による所得なので,給与所得
個人事業主,フリーランスの方は事業による所得なので,事業所得
を基に税金を計算します。
「所得」とは,得た収入から,その収入を得るために必要な経費を引いて計算するものです。
所得の計算
給与所得の場合は,
給与収入から給与所得控除という経費
を引きます。
この給与所得控除は,計算により求めるものです。
例えば,給与収入(額面金額)に対する給与所得控除は次のようになります。
300万円の給与収入→108万円の給与所得控除
500万円の給与収入→154万円の給与所得控除
1,000万円の給与収入→220万円の給与所得控除
2,000万円の給与収入→270万円の給与所得控除
生活費以外の給与を得るために必要な経費(仕事のための経費)と考えると,
意外に多いと感じられるかもしれません。
事業所得の場合は,
事業による収入から収入を得るためにかかった必要経費
を引きます。
これら,給与所得控除と必要経費には次のような差異があります。
給与所得控除と必要経費
1 実際にかかった経費かどうか
給与所得控除
 →給与所得控除は,給与収入を基に計算で求められる概算の経費ですので,
  同じ給与だったら,同じ給与所得控除額になります。
  実際にかかった経費かどうかは関係ありません。 
  給与所得者は,領収書などを保管することも,会計ソフトに入力することもせずに
  経費を計上できます。
必要経費
 →必要経費は,原則として,実際に発生した経費です。
  事業による収入を得るために必要なものを計上します。
  個人事業主の方が,領収書を保存し,会計ソフトに入力するのは,
  この必要経費の計上のためです。
  同じ収入でも,当然,経費の金額は変わってきます。
  
2 収入以上の経費が計上できるかどうか
給与所得控除
 →給与所得控除は,計算で求められるため,
  そのため,所得(給与収入-給与所得控除)は必ずプラスになります。
  一定以上の収入があれば,必ず税金が発生します。
  収入以上の経費を税金の計算上考慮することはできません。
  (特定支出控除という制度はありますが,現実的には使いづらいものです。)
 
必要経費
 →必要経費は,収入以上の金額になる場合があります。
  経営的には思わしくありませんが,所得(事業収入-必要経費)がマイナスになれば,
  税金は発生しません。
  
それぞれのメリット・デメリット
まとめると,次のようになります。
給与所得
 メリット→実際に使っていなくても,一定の経費(給与所得控除)を計上できる。
 デメリット→収入を上回る経費を計上することはできないので,一定の税金は必ずかかる。
事業所得
 メリット→収入を上回る経費が計上できる場合がある。
 デメリット→実際に使った経費しか計上できない
        (青色申告特別控除,貸倒引当金などの例外あり)
特に給与所得者のメリットが発揮されるのは,
個人事業主が会社を設立した場合です。
会社の経費として,
今まで個人事業主の経費として使っていた分及び自分への給料を計上でき,
自分への給料を受け取った際に,給与所得控除をさらに計上できます。
この給与所得控除は個人事業主と会社経営者との間の課税の不均衡であるという見方もあります。
平成22年税制改正で廃止となった1人オーナー会社課税[過去記事へ] (特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度)もその考えから制定されたものでした。
平成22年税制改正では,この給与所得控除について,
「抜本的措置を平成23年度税制改正で講じます。」
と明言化されています。
全般的な給与所得控除の額の見直しや
一定の収入(例えば年収2,000万円以上)の方の給与所得控除の金額が少なくなる
という可能性はあるでしょうね。
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2/28(日)「決算書を読むための法人税の知識」勉強会 開催します 

【編集後記】
しばらく続いている咳を止めたいと思い,ネットを見ていると,
「咳の民間療法」というページが。
いろんなレシピが書いてあり,その中の1つ,レンコンの絞り汁を作って飲んでみたところ,
結構効き目がありました!
夜は,しょうがの黒焼きを試してみます。

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