・扶養控除の廃止により増える税金を計算する方法

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最近の当ブログの検索キーワード1位は「扶養控除 改正」です。
googleでは1位,Yahooでは5位でした。
3月末から検索が増えているので,「扶養控除の改正が4月から実施されるという認識」,「何か特別なニュースがあった」,「検索順位が急激に上がった」などが考えられますが,正確な理由はわかりません。
検索される記事は,昨年12月に書いたこの記事です。
扶養控除の改正【平成22年税制改正】
扶養控除とは,一定の収入以下の扶養親族がいる場合,原則として1人当たり38万円を所得から引くことができる制度です。
所得とは税金の計算の基になる金額であり,税金は所得×税率(-控除額)で計算されます。
この扶養控除に改正があり,平成23年分の所得税から実施されることとなっています。
改正内容は上記の記事を参照してください。
今日は扶養控除の改正,つまり廃止により損得関係がどうなるかを計算する方法についてご紹介します。

前提として平成21年と平成23年の収入が変わらないものと仮定します。
1 平成21年分の源泉徴収票を準備します。

源泉徴収票の黄色い部分から青い部分を引いたものが税金の基礎となる所得です。
※確定申告をされた方は黄色い部分の「給与所得控除後の金額」を確定申告書の「所得金額の合計」と読み替えてください。
ピンク色の部分「源泉徴収税額」が平成21年に支払った所得税です。
年収600万円,配偶者(扶養の範囲),子ども1人(中学生)の場合の源泉徴収票を例に挙げています。
EX-IT|

2 扶養控除後の所得税額を計算します
(1)源泉徴収票の黄色から青を引きます。
 例の場合は,4,260,000円-1,840,000円=2,420,000円です。
 この金額が税金を計算する基となる金額です。

(2)平成23年(2011年)12月31日現在で23歳未満の扶養親族の数をカウントします。
 例の場合は扶養親族は1人です。
 ※配偶者はこのカウントに含めません。

(3)カウントした扶養親族の数により,扶養控除の廃止により減ってしまう所得控除の金額を計算します。
 
 所得控除の金額とは,所得から控除されるもので,源泉徴収票の青の部分に該当します。
 380,000円×扶養親族の数です。
 例の場合は,380,000円×1=380,000円です。

(4)(1)の金額に(3)金額を加算します
 改正により控除がなくなっていまうということは税金の対象となる金額が増えることとなるため,加算します。
 例の場合は,2,420,000円+380,000円=2,800,000円となります。
 この金額をAとします。
 扶養親族が2人の方はAの金額が(黄色-青色)+380,000円×2となります。
(5)次の表により税率を確認します。

 該当する区分に応じて,Aの金額に税率をかけて控除額を差し引きます。
 例の場合は2,800,000円ですので,「195万円超~330万円以下」の区分に該当します。
EX-IT|
 
 したがって,税金は2,800,000円に税率10%をかけて控除額97,500円を差し引きます。
 2,800,000円×10%-97,500円=182,500円が改正後の所得税です。
 この金額を当初の所得税(平成21年源泉徴収票の源泉徴収税額)と比較します。
 182,500円-144,500円=38,000円が改正により増える所得税です。
 
このほかに住民税の金額も増えることになります,
住民税は35,000円×扶養親族の数で計算できます。
上記の例の場合,35,000円×1人=35,000円が改正により増える住民税です。 
※1人当たり350,000円の控除であり,税率が一律10%→350,000円×10%という計算
結果として,38,000円+35,000円=73,000円が改正により増える税金となります。
改正の前後で税率の区分が変わらなければ,扶養控除廃止の影響額は次の式で計算することも可能です。
(380,000円+350,000円)×平成23年12月31日時点で23歳未満の扶養親族の数×税率

年間でこれだけの税金が増えますが,子ども手当や高校の授業料無償化による収入を考慮すると損得が把握できます。
子ども手当だと平成23年から1人月26,000円ですので年間312,000円の収入です。
支給される金額は一定ですが,計算例で見たとおり,所得が多ければ多いほど改正により増える税金は多くなります。
追記:5/25(火)に給与に関する税金の勉強会を開催します。
詳細はこちらの記事を参照してください。
・「給与に関する税金のしくみ勉強会」開催のお知らせ


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【編集後記】
当ブログの検索キーワードでトップなのは,去年夏くらいからずっと「TweetDeck 使い方」です。
心境としては複雑ですが・・・。
税務・会計関係のキーワードは細分化していることも要因の1つだと思います。
最近は,なぜか「シゾフレ・メランコテスト」も多いですね。

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