・税金Sideから見た減価償却費

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昨日の記事で会計Sideから減価償却費を考えてみました。
減価償却費とは,会計上の観点からは次のような考え方をします。
・費用の配分であること
・収益と費用と対応させたものであること
・定額法と定率法という方法があること
実務上ではどういう処理を行うのか?というと,これには税金上の観点が大きく影響してきます。
税金Sideから見た減価償却費についてとりあげてみました。
1 法律で耐用年数が決まっている
減価償却は取得した資産ごとに使用できるであろう年数を見積もり,毎年経費に計上していくものです。
600万円の機械が10年持つと判断されれば10年で経費にし,5年しか使えないと判断されれば5年で経費にします。
しかし,税金側から考えると,納税者側の判断で経費の金額が変わる=税金の金額が変わるのは好ましくないわけです。
そこで,法律上,資産ごとに減価償却すべき年数を定めています。
これを耐用年数といいます。
鉄筋コンクリートの建物だったら47年,普通車だったら6年,パソコンだったら4年などというように決められています。
現実は,この法律の規定にそって減価償却を行っていることが多いです。
2 少額のものは減価償却をしなくてもいい
実務上の利便性や中小企業支援の目的から,少額のものは減価償却をせずに,一括して経費に落とすことができます。
・10万円未満→どの企業も一括して経費にできる。
・10万円超30万円未満→中小企業(資本金1億円以下の企業,個人事業主等)で青色申告をしている場合,一括して経費にできる。
※年間累計で300万円が限度です。
PCを買った場合の税金・会計上の処理
3 税法上は一定限度を超えなければよい
税法上は,上記1の耐用年数によって計算された金額を超えない範囲で減価償却をすればいいことになっています。
例えば,税法上の減価償却の限度額が100万円だった場合,100万円までは減価償却費として認められています。
税法上は,この場合に減価償却費がゼロでもかまわないわけです。
この問題点については別途取り上げます。
4 中古の資産は耐用年数が短い
中古の資産を買った場合は耐用年数を短くすることができます。
その他,劣化や陳腐化が激しい場合も同様に規定があります。
・中古でモノを買った場合の税金上の特例
5 減価償却の方法を選択できるものと選択できないものがある
前回,減価償却の方法として,定額法と定率法を挙げました。
定率法の方が,早期に経費を計上できる=税金を少なくできるため,定率法で減価償却を行う方が好ましいのですが,税法上は一定の制限があります。
・平成10年4月1日以降に取得した建物は定額法のみ
 →建物は金額も大きいため,一定金額を毎年計上する定額法のみしか認められていません。
・減価償却の方法を届け出なければならない
 減価償却の方法は税務署に届け出なければいけません。
 届出がない場合は次の方法で減価償却をする必要があります。
 個人事業主・・・定額法
 法人・・・定率法
6 法律の改正により1円まで減価償却できるようになった
以前は,取得した金額の5%を残して減価償却をする必要がありました。
例)
100万円の車を購入→95万円を減価償却として経費に落とせるが,5万円は残したまま。
平成19年4月1日以降に取得した資産については,1円を残して減価償却をすることができます。
例)
100万円の車を購入→99万9,999円を減価償却として経費に落とし,1円は残したまま。
※従来の資産は,耐用年数まで減価償却した後,残りの「5%-1円」を5年で償却します。
減価償却費は,会計上の観点を反映しつつも,金額が大きくなりがちですので,税金上の制限も多い項目です。
次回は,経営上減価償却費をどう考えればいいかについて取り上げます。
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