・自分で申告書を作成することは可能か【法人の場合】

昨日の記事に続き,法人の申告書を自分で作成することができるかについて検証してみます。
結論から言うと,技術的に難しいです。
市販のソフトウェアで法人税の申告に対応しているものが少なく,あったとしてもかなり高額になってしまいます。
手書きで書いて提出する方法もありますが,手間を考えると得策ではありません。


ゴール
法人の申告について,最終的に税務署に提出するのは,次の2つです。
・法人税の確定申告書
税金の計算を行う書類です。

・決算書

貸借対照表,損益計算書,販売費及び一般管理費の明細書,株主資本等変動計算書があります。
・勘定科目内訳書
決算書の各勘定科目の内訳を記載した書類です。
例えば,決算書の「普通預金」は,A銀行がいくら,B銀行がいくら・・という内訳がありますので,それらを記載します。
記載するのは,売掛金や買掛金,借入金など決算書の貸借対照表の項目や,損益計算書のうち,役員報酬,地代家賃,雑収入などの項目の内訳です。
たまにこの勘定科目内訳書の項目が非常に少ないケースを見かけます。(税理士が変更になった場合,前の税理士が作成し,提出した書類の控をクライアントからいただきます。)
書類の内容で税務署から不審に思われる可能性もあるので,可能な限り詳細に作成すべきと言うのが私の考えです。ただ,必要以上に開示すべきでもありませんので,そのさじ加減が重要でしょうね。
・法人事業概況説明書
事業の内容や,従業員数,決算書の数値の概要,月別の売上,仕入,人件費などを記載します。
税務署は,結構,この書類から情報を得ているとの話も。
特に月別の売上等の数値は,しっかり記載しておくべきでしょうね。
・地方税の申告書
個人の場合,つまり所得税の場合は税務署だけに申告書を提出します。市区町村は税務署に提出された申告書で住民税を計算します。
一方,法人の場合は,税務署,所在地の都道府県,市区町村それぞれに申告書を提出しなければいけません。
例えば,東京都千代田区外神田にある法人は,神田税務署,東京都に提出し,千葉県船橋市にある法人は,船橋税務署,千葉県,船橋市に提出します。
その分の申告書を作成しなければいけません。
なお,地方税とは,法人住民税(都道府県,市区町村),法人事業税,地方法人特別税の総称です。
・消費税の申告書
消費税を納税すべき場合は消費税の申告書を作成します。
通常,以上の書類を提出します。
税理士が代理で提出する場合には,この他に税務代理権限証書(代理で税理士に申告を委任しますという書類)などを提出しています。


保管しておくべきもの
上記の提出書類の他に,次のものを保管しておかなければいけません。
これらは個人事業主の場合と同様です。
税法上の保管期間は7年です。
・総勘定元帳
取引を記録した書類です。
具体的には会計ソフトに取引を入力し,それをプリントアウトしたものになります。
・請求書,領収書,預金通帳等
取引の記録の証明となるものです。
これらは提出の必要はありません。
税務調査のときに提示することとなります。


作成すべきもの
上記をまとめると,作成すべきものは,総勘定元帳,決算書,申告書です。
これらは次のように作成します。
総勘定元帳・決算書
会計ソフトを使用して作成します。
日々の取引を入力すると,その取引をまとめたものが自動的に作成されます。
例えば,現金でいつ何を支払ったか,会議費では,いつ,どういった目的で支払ったかなど,勘定科目ごとにまとめられているのが総勘定元帳です。
決算書も会計ソフトにより自動的に作成されます。
会計分野は大きな改正がない限り,バージョンアップの必要はありません。(毎年発売されますが)
申告書等
個人事業主のように,国税庁のサイトで作成することはできません。
専用のソフトを購入する必要があります。
こういったソフトは,一式そろえると結構高額になります。
法人税(+地方税),勘定科目内訳書,法人事業概況説明書などそれぞれにつき,購入しなければいけません。
国税庁のサイトからダウンロードできるe-Taxソフトを使うことも可能です。
ただ,このソフトは計算機能がありません。
数値を入れると合計するという機能もありませんので,このソフトで作成するのはかなり大変かと思います。
私も使ったことはありません。
それでも可能性があるとすれば,いろんな方法を組み合わせる方法があります。
総勘定元帳・決算書→会計ソフト
勘定科目内訳書→Excel
申告書→手書き
法人事業概況説明書→Excel又は手書き

相談できる場所
個人事業主と同様に,繁忙期を除けば,税務署の窓口で相談に乗ってくれます。
ただし,個人のように,確定申告時期に相談会の場を設けることはありません。
確定申告時期はバラバラですしね。
個人的には,自社で申告までできる法人が,もっと増えてもいいのではと思っています。
それにはソフトウェアの対応や複雑,かつブラックボックス化されている税法といった問題を解決しなければいけません。


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【編集後記】
昨日,編集者さんからExcel本のゲラ(原稿を印刷したもの)を受け取りました。
EX-IT|
実際にレイアウトして印刷してみると,かなりページ数がオーバーしてしまっています。
まずはボリューム調整ですね。
その他画像の差し替えや内容のチェックを行います。
土日はこれにかかりきりです。




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