Excelがあれば会計ソフトはいらないのか?ー経理業務でExcelを使う場面ー

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『そのまま使える経理&会計のためのExcel入門』の4刷分が届きました。
(大きな変更はなく、必要最低限の変更、修正のみ行っています)
経理業務でExcelを使う場面を改めてまとめてみました。
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会計ソフトを使わずにExcelだけで経理ができるか

「Excelで経理」というと、「Excelを使えば会計ソフトがいらない!」と思われがちですが、Excelだけでやるのは非常に難しいです。
その理由は3つあります。

1つめは総勘定元帳。
税金上、帳簿というものを作り、保管しておかなければいけません。
一般的に総勘定元帳、元帳といいます。
税務調査では、この総勘定元帳を見られるのです。

たとえば、Excelに 「現金で通信費を払った」という処理を入力すると、現金の総勘定元帳にも、
総勘定元帳 現金

通信費の総勘定元帳にも表示されなければいけません。
総勘定元帳

このしくみを通常のExcelの機能で作るのは大変ですし、ミスも起こりがちです。

【関連記事】総勘定元帳(元帳)をExcelマクロで作るアイデア | EX-IT
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2つめは消費税の処理。
会計ソフトでやっている消費税の処理は実は結構複雑です。
通信費 630円の場合、税抜の通信費は600円 消費税は30円となります。
前述の例でいえば、現金で支払ったのはあくまで630円です。
これらの処理をExcelで一度にやらなければいけません。

3つめは、借方、貸方の問題。
データを集計するだけならば、ピボットテーブルやSUMIF関数で簡単にできます。
詳細は省きますが、会計の仕訳では、現金や通信費という科目は、借方(左側)にも貸方(右側)にも表示されます。
これをExcelで集計するのは一工夫必要です。

私自身は、会計ソフトを使わずにExcelのみで完結させています。
(マクロも使います)
3月決算のお客様、自社と導入済みで、遅くとも消費税増税までにすべてのお客様に導入する予定です。
(お客様側の処理はまったく変わりません)

といっても、Excelだけで処理するには、やはり万人におすすめできるものではありません。

 

 

現実的にExcelを活用できるのは

会計ソフトと共存しつつExcelで経理業務の効率化を図るのが現実的といえます。

『社長!「経理」がわからないと、あなたの会社潰れますよ』でも書いたとおり、経理業務には、

記録→分析→報告

の3ステップがあります。

それぞれのステップでExcelをうまく使うのです。

 

 

経理業務でExcelを使う場面

1 会計ソフトのみの場合

会計ソフトのみを使う場合、一般的に次のような経理業務を行います。

・記録
会計ソフトにデータを入力する

・分析
会計ソフト又は別のソフトを使って分析する

・報告
会計ソフト又は別のソフトで作った資料をそのままプリントアウトする

よくもわるくも会計ソフトの機能に左右されてしまいます。
別のソフトを導入できる場合もありますが、会社でなかなか導入してもらうのは難しいでしょう。

高額なソフト、有名なソフトを導入したからといって、目的にあった分析、資料作成ができるとも限らないのです。

経理とシステム開発の双方に明るい人材はそれほど多くありません。

 

2 Excelを使う場合

普通にExcelを使う場合は次のようになります。

・記録
Excelで作った資料を会計ソフトに再度入力する
(合計で入力する場合もあり)
データを見て、会計ソフトに入力する

・分析
会計ソフトからプリントアウトした資料又は会計ソフトを画面上で見ながら、Excelで分析する

・報告
上記で分析したした結果又は会計ソフトからプリントした資料をもとにExcelで資料を作る

 

 

3 Excelを効率的に使う場合

上記2をもう一歩進めるとこのように使えます。

・記録
Excelで入力し、そのまま会計ソフトに取り込む
ネットバンクや売上データなどを加工して、会計ソフトに取り込む

・分析
会計ソフトにデータを取り込み、数字が完成したら、Excelで変換(エクスポート)する
その後、Excel上で分析、チェックする

・報告
Excel上で作り、報告資料を作る

 

Excelだと細かいニーズにも適応でき、楽に作れる仕組み作りもできます。

ここで会計ソフトへいったん取り込むのは、前述した3つの理由のためです。

使い勝手はいまいちだけど信頼性のある会計ソフトをここで使います。

データの入力に関しては、好みもあるでしょう。
会計ソフトの入力が非常に速い方は直接入力した方がいいのかもしれませんが、Excelの機能をうまく使うと効果的に入力できます。
もし、データがあれば、入力せずに、加工してうまく使うようにするのが鉄則です。
単純作業で役に立つExcelテクニック10 | EX-IT

 

 

 

Excelから会計ソフトへの取り込み(インポート)が役に立つ5つのケース | EX-IT

 

 

 

税理士業務でExcelを活用している場面11 | EX-IT

 

 

 

 

 

 

 





【編集後記】

『そのまま使える経理&会計のためのExcel入門』は、2010年8月に発売された本ですので、当時やっていなくて今やっていること、テクニックは反映されていません。
基本的な考え方は同じですけどね。
機会があれば、今のやり方でExcel本を書いてみたいと思っています。

 

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