・寄付に関する税金 その3 「ふるさと納税」制度

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昨日の記事に続いて、個人が寄付をした場合の税金について解説します。
昨日取り上げたのは、赤十字、中央共同募金会などに寄付をした場合の税金でした。
・寄付に関する税金 その2 個人が寄付した場合
今日は都道府県、市区町村に個人が寄付をした場合について取り上げます。
この制度は「ふるさと納税」といわれています。
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【今日のテーマ】
・寄付に関する税金 その3 「ふるさと納税」制度
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「ふるさと納税」とは
この「ふるさと納税」は、私自身もやったことがあり、記事を執筆させていただいたり、取材を受けたりしたことがあります。
もともとは「ふるさと」(生まれた場所)に納税をするという趣旨でした。
しかし、「ふるさと」の定義が難しく、また納税は本来、現在住んでいる場所にすべきであるとの考えから、最終的には、都道府県、市区町村に寄付をすることにより税金が控除される制度となっています。
「ふるさと納税」という名称ですが、どの都道府県・市区町村を選んでも大丈夫です。
○控除される税金「ふるさと納税」、つまり、都道府県・市区町村に寄付をすると、税金が控除されます。
その税金とは、あえて分けると3つの種類があります。
1 所得税
昨日の記事(赤十字などへの寄付)と同様に、所得税が控除されます。
(寄付金の額(※)ー2,000円)を所得控除
※その年の総所得金額等の40%相当額
次の図は、給与所得のみと仮定した場合の計算の流れです。
給与の額により、所得が変わりますので、寄付金の限度額及び税率が変わってきます。
EX-IT|
2 住民税(基本控除)
同じく、住民税の控除があります。
(寄付金の額(※)ー5,000円)×10%を税額控除
※その年の総所得金額等の30%相当額
EX-IT|
1と2は、通常の寄付金(控除の対象となるもの)と同じです。
3 住民税(ふるさと納税分)
「ふるさと納税」では、上記2に加えて、さらに住民税の控除があります。
(寄付金の額ー5,000円)×税率(50%~85%)を税額控除
※税額控除される金額は住民税の10%を限度とします。
EX-IT|
税率が50%~85%となっています。
これは、90%から所得税の税率を差し引いて計算します。
所得税の税率が5%の場合、90%-5%=85%、10%の場合は90%-10%=80%となります。
まとめると、次の表になります。
給与収入は、個々の状況により異なりますので概算数値と考えてください。
確定申告をしている方は、課税される所得金額は、確定申告書の1枚目右上の?に書いてあります。
EX-IT|
【関連記事】
税金の方程式その1 所得税(給料)
上記1から3を踏まえて寄付による減税額を試算すると、年収500万円で単身の方だと、次のようになります。
1万円の寄付
→所得税 800円  住民税(基本) 500円  住民税(ふるさと)   4,000円  合計5,300円
5万円の寄付
→所得税 4,800円  住民税(基本) 4,500円 住民税(ふるさと) 25,000円 合計34,300円
10万円の寄付
→所得税 9,800円 住民税(基本) 9,500円  住民税(ふるさと) 25,000円 合計44,300円
50万円の寄付
→所得税 49,800円 住民税(基本) 49,500円 住民税(ふるさと) 25,000円 合計124,300円
100万円の寄付
→所得税 76,100円 住民税(基本) 99,500円 住民税(ふるさと) 25,000円 合計200,600円
※所得控除(扶養、社会保険)の額によって減税額は変わります。
住民税(ふるさと)は、住民税額の10%を限度とします。
○控除される時期
平成23年(2011年)に寄付した場合、所得税は、平成23年分から控除されます。
住民税は、平成24年6月以降に納付する住民税から控除されます。
○必要な手続き
1 ふるさと納税の手続
まず、ふるさと納税自体の手続きが必要です。
都道府県又は市区町村により異なりますが、大まかな手続きの流れは次の通りです。
1.まず,自治体(都道府県又は市区町村)に次の方法により寄付の申出をします。
 ・電子申請(インターネットによる申込)
 ・郵送
 ・Eメール又はFAX
 郵送の場合は電話等での請求,Eメール及びFAXの場合はHPからダウンロードすることにより,用紙を入手することができます。
2.寄付の方法は次のとおりです。(自治体により異なります)
 現金書留
 窓口納付
 ペイジー
 ネットバンキング
 納付書による納付(金融機関等で)
 クレジットカード
 ★参考サイト→http://koukin.yahoo.co.jp/furusato-nouzei/
  Yahooを通じて、クレジットカードで「ふるさと納税」をすることができます。
 ※窓口納付は、自治体の窓口だけでなく、東京都や大阪府にある事務所でも行うことができます。
3.寄付を行った後、自治体から寄付金の領収書が発行されます。
4.その領収書を添付して所得税の確定申告を行います。所得税の確定申告は、同時に住民税の申告を都道府県及び市区町村に行うことができます。(住民税の申告だけ行うことも可能ですが、その場合、所得税の控除がなくなります。)
○まとめ
この制度をまとめると次の5つの事項にまとめられます。
・どの都道府県・市区町村にも寄付することができる
・控除額は5,000円を差し引いて計算する
・控除は住民税の10%を限度。
→いいかえると、自分が住んでいる都道府県・市区町村に納める税金のうち10%までを他の都道府県・市区町村に納めることができるということです。(5,000円は純然たる寄付となります)

・「ふるさと納税」自体の手続きが必要
・確定申告が必要
被災地への寄付の方法として、「ふるさと納税」が注目されています。
直接、都道府県又は市区町村に寄付ができるからです。しかし、前述のとおり、「ふるさと納税」自体の手続きが自治体側で必要となります。
現在、その体制が整っていないところも多いかと思います。
今利用すると、かえって事務負担を増やすことになりかねます。
今すぐというわけにはいかないかもしれませんが、様子を見て利用してみてはいかがでしょうか。
私も引き続き、情報を集めつつ、タイミングをみて利用します。
仙台の税理士、岩松正記さんは、「ふるさと納税」を推進されています。
こちらの記事も参考にしてください。
切にお願い。チャリティーよりも是非とも「ふるさと納税」を!
ふるさと納税が少しは広まったかも?
ふるさと納税について3つの思い
【関連記事】
・寄付に関する税金 その1 法人が寄付した場合
・寄付に関する税金 その2 個人が寄付した場合
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【編集後記】
昨日のクライアント訪問では、新たに入社された経理担当者の方とも打ち合わせをしました。
新しい会計ソフトも導入し、今後は業務フローの見直し、効率化についてもお手伝いしていきます!

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