税理士の値段

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昨日,あるクライアントと決算の打ち合わせを行いました。
社長・専務を交えて,13:00から17:00という長丁場でしたが,
数字はまとまり,あとは申告書を作成するだけです。
その打ち合わせ後,専務が
「うちも利益が増えたから,先生へのお支払いも増えるんでしょ?」
と質問されました。
利益が増えると,それに応じて税理士報酬は上がるのかどうか
ということです。
私の答えは,「変わりませんよ」でした。
上げる理由がないからです。
税理士報酬の法的な規制
以前は,税理士会で税理士報酬規定というものがありました。
取引の規模等により,報酬の最高限度額を定めたものです。
最高限度額ですので,それを超えなければいいという趣旨であり,
ある程度高めに設定されていました。
現在は,報酬を自由に決めることができます。
税理士報酬の設定方法
税理士によって,その考え方はまちまちですが,報酬の設定方法には以下のようなパターンがあります。
1 行う業務により計算する方法
 打ち合わせの回数や会計ソフト入力の量により,計算する方法です。
2 売上など一定の基準により,金額を決める方法
 売上がいくらだったら,報酬がいくらという設定方法です。
3 以前の税理士と同じ金額にする方法
 税理士を変更する場合,その変更前の税理士と同じ金額で設定する方法です。
4 契約時の交渉による方法
 契約時に交渉し,料金を設定する方法です。
5 担当者により設定する方法
 担当者のスキル(経験年数,税理士資格の有無等)により,料金を設定する方法です。
 美容院のシステムのようなものです。
私の場合は,1と2を組み合わせているパターンです。
売上の規模が3億円以上か,未満か,
訪問回数は何回かで
設定しています。
3は,全く適用しません。あえて,前の税理士報酬は聞かないことにしています。
交渉材料としてはいいのかもしれませんが,
提供するサービスが異なるので,参考にならないのも事実です。
4も行っておりません。料金表を設定していますので,その料金表を提示しています。
5については,もし担当者制にする場合,理にかなっているのではないかと思います。
税理士事務所と契約しても,担当者によりサービスの質は変わります。
当事務所の場合は,私自身が担当していますので,この設定方法はまだ行っておりません。
なお,料金表は担当者が私であることを前提に設定しています。
料金表を作成するかどうか
税理士側から考えると,料金表を作成して,提示するかは悩みどころです。
メリット,デメリットがありますが,
私の場合は,独立当初から料金表を作成し,必ず提示するようにしています。
初回の面談の際に,料金表を提示すると,料金表があることにビックリされる方もいらっしゃいました。
この料金表は目的が2つあります。
1つめは,料金体系を明確にするため
2つめは,自分自身のためです。
正直,税理士報酬を正確に見積もることは難しいです。
業務内容,経理体制,経営者など様々な要素により,業務の内容が変わってきます。
そのため,「自分自身の値段」として,料金を設定し,基準としています。
値下げ・値上げ
その基準を設定しておかないと,値下げ・値上げの誘惑に負けてしまいます。
値下げについては,現在行っておりません。
値上げについても,業務の量が増えない限り行いません。
以前勤めていた事務所では,毎年値上げをしていたケースもありましたが,
なんとなく腑に落ちませんでした。
現状のスタンス
冒頭のクライアントは,2期目が終了し,前期と比較して大幅に利益は増加しています。
しかし,利益が増えても,料金表どおりでいくと,税理士報酬は変わりません。
必ずしも「利益が増える→業務量が増える」とは限らないからです。
何か特殊な案件があった場合は,事前に追加の税理士報酬と共にご提案することになります。
現状は,このような考え方で税理士報酬を設定しています。
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