税理士になりたいなら覚悟しておくこと。時間・お金・投資回収

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「税理士になりたい」というキーワードで当ブログをお読みいただいています。
税理士になるということについて改めて考えてみました。
※とある税理士近影 by Leica M10

税理士になるのに必要な資格と経験

税理士になるには、税理士資格と実務経験2年間が必要です。

税理士資格

税理士資格は主に次のような方法でとれます。
・11科目のうち5科目に合格する。
・11科目のうち3科目に合格&大学院に2年間通う。

どちらが楽というわけではなく、大学院に2年間通うのも200万円ほどかかりますし、それなりの時間も必要です。

科目に合格するといっても1年で5科目を受けても合格する見込みはありません。
現実的には1年に2から3科目、働きながらだと1か2科目になるでしょう。

ということは、1年目 2科目、2年目 3科目と順調に受かっても2年、1科目ずつ受けると5年です。
1つでも不合格になると6年、その不合格が続くと、7年、8年、9年、10年と月日は過ぎてしまいます。

実務経験

資格に必要な実務経験として、税理士事務所・税理士法人や企業の経理で2年間勤めなければいけません。
1つの所で2年でなくても、複数の箇所でも大丈夫です。

これもそうそうかんたんにはいかず、税理士事務所・税理士法人だと勤めたからといって、その証明を出してくれるわけでもありません。
ごく稀に「やだ」といわれることも。
なかなか大変な道のりでもあります。

税理士になるには
・複数年にわたり資格を取る勉強をしなければいけない
・2年間以上実務経験を積まなければいけない
というわけです。

この実務経験は、あくまで資格のために必要なものと考えておきましょう。
2年の実務経験があったからといって、独立してひとりでやっていけるというわけではありません。
むしろ何年経験したからといってから大丈夫というものはなく、わからないことはわからないものです。
新しい法律だってできます。

税理士になりたいのであれば、できるだけ早く試験に合格して資格を取り、2年の実務経験をそれとなくこなして、独立してから精進するというのがおすすめです。
独立前と独立後の経験は段違いであり、独立後の経験こそが血肉となります。
独立後は自分が責任を持つわけですし、自らもビジネスをするということで視点がまったく変わるものです。

たとえれば、独立前は桃白白、独立後はベジータ、フリーザ、ブウと戦います。
独立前は、手鬼(最終選別の鬼)、独立後は十二鬼月と戦わなければいけません。

私が税理士になった道

参考までに私が税理士となった道は、こんな感じです。

・2000年4月5日 公務員を辞めて税理士を目指すと決める

・2000年8月 2000年5月から学校に通い、国税徴収法受験→結果不合格

・2001年8月 2000年9月から学校に通い、簿記論・財務諸表論・消費税法受験→簿記論・消費税法合格。受験に専念、無職。

・2002年8月 2001年9月から学校に通い、法人税法・財務諸表論受験→両方とも合格。
2001年9月から4月までは税理士事務所勤務、その後は専念。

・2003年8月 2002年9月から学校に通い、国税徴収法受験→結果合格。5科目揃う。
2002年10月から税理士事務所勤務、働きながら受験。

性格からいっても、短期集中でないとずるずるといってしまうと思いましたので、初年度は無職で専念という道を選びました。
家賃の安いところに引っ越し、貯金を取り崩しながらの勉強の日々です。

2年目は勤めたのですが、合格の手応えは多少なりともあったので、思い切って4月に辞めて専念しラストスパートをかけました。
リスクはありましたがこの賭けに勝ったのが大きかったかなと。
運がよかったです。

3年目は働きながらの受験。

一応、考えていたのは、
・初年度に税法を学ぶ(早いうちに学んだほうがいい、就職にも多少有利)
・科目の組み合わせでは税法は1つ(暗記で混乱するので。集中して覚えるため)
・9月から8月まで勉強(1月からとかにしない)
といったことです。

実務経験は最初の7ヶ月+次の1年4ヶ月での合計2年1ヶ月で申請しています。
2年ちょうどだと審査の段階であーだこーだいわれるという風の噂を聞いていたので、2年1か月にしました。
(本当にあるようです。ルール上は2年でいいのですが。2年1ヶ月でも嫌味をいわれましたけど)

そんなわけで2003年5月には税理士として登録したのですが、その後税理士事務所、企業、税理士事務所とうろうろしてしまい、2007年8月に独立したというわけです。

たまたまこういう好材料がありました。
・受験をはじめたのが27歳で30歳まで資格をとるというわかりやすい目標があった

・公務員時のストレスが大きく、ここから抜けるためなら勉強でもなんでもやるわいというモチベーションがあった

・公務員時代、その前のアルバイト時代で、組織は合わない、独立しないと生き残れないという危機感があった(税理士なら独立できるので)

・それまでの受験人生で不合格が多く(公務員試験も不合格になった職種がありました)、今度こそはというリベンジの気持ちがあった

・公務員という一生安泰・給料安定・年金充実という立場を捨てたからにはやりとげなきゃというプレッシャー

・これで合格して税理士になったら、将来ネタにできるなというもくろみ

・公務員になってやって両親を安心させることができたのに、やめることになり、なんとかしないと!という思い

さらには、税理士になりたいなら覚悟しておいたほうがいいかなと思うことがあります。

税理士になりたいなら覚悟しておきたいこと

税理士になりたいなら次のようなことを確保しておきましょう。

時間がめちゃくちゃかかる

税理士になるのに時間はめちゃくちゃかかります。

日々勉強しなければ合格できませんし、その他のものを切り捨てる覚悟は必要でしょう。
コツコツ毎日勉強するのは大前提、その上で工夫をしなければ合格できません。
私は、9月から8月の期間は、ほぼ休まず勉強しています。年末年始、GWなぞありませんでした。

もちろん、才能があれば、もっと少ない勉強量で合格できるでしょう。
ただ、質×量と考えると、量もやはり大事です。

税理士試験のそれぞれの科目の合格率は10%程度。
しかしながら、すべての方が勉強しているわけではなくありません。
大学受験だと皆勉強に専念していますが、税理士受験だとそれぞれの立場で勉強し、まったく勉強していない、勉強できてないという方も多いのです。

仕事が忙しくて勉強する時間がないというケースも残念ながらあります。
だからこそ受験者すべてがライバルではなく、実質的な合格率は30%程度かなと私は思っていました。

どのくらい勉強していたかというと、学校でいわれたことは全部やり+アルファもやることにし、勤めているときは1日3時間から5時間、通勤時間や休み時間を利用し(勉強を大義名分にしょうもないランチから逃げていました)、専念しているときは1日8時間から10時間は勉強しています。
今独立して8時間から10時間ぐらい仕事をしているかのように、1日勉強していたということです。

婚期も逃しましたし、当時の友人関係も希薄になってしまいました。
もちろん、そうすべきというわけではなく、うまく両立する方法もあるでしょう。
私にはできなかっただけです。

趣味の時間も減ります。
当時趣味だった F 1やゲームはちょこちょこやってはいましたがF1はそのうちやめました。
興味がなくなったこともありますが。
旅行や外食もほぼなしです。

特に勤めながらだと時間のやりくりが大変です。
私はどんなに条件が悪くても、残業がないところだけを選びました。
一定の時期だけ残業があるところも応募していません。
1月から3月に勉強できないと、勉強期間の11ヶ月の3ヶ月も失いますので。

今だと考えられませんが、喫煙の税理士事務所もあり、初日から怒鳴られるようなこともありましたが、残業なしなら致し方ありません。
(面接時に残業なしと答えるところは本当になく、残業が月○時間というところは残業がもっとあると考えておいてもいいかもです)

税理士事務所(ときには税理士法人も)はちゃんとした組織ではなく、働く環境としてはそれほどよいものではありません。
見習いとして雇ってやるというスタンスやることも多いです。
これはしかたのないことです。
変えようがありませんので。

こういった環境に不満があるなら、1年でも早く資格を取り、独立しましょう。

お金がそれなりにかかり続ける

税理士になるには、お金もそれなりにかかります。
専門学校に行くことは大前提です(独学だと厳しいでしょう。競争試験=上位10%が受かる試験でもあるので)。

当時で、2年間60万円弱でした。
(今は勉強期間も延びて、80万円弱するようです)。
さらに1科目20万円ほどはかかります。
不合格が続けばそれだけお金がかかるわけです。

さらには受験に専念すると、その間に働いていれば得たであろうお金も失います。
年間300万円だとすると300万円失ったと考えられるでしょう。

また税理士業界は給与水準がそれほど高くありませんので、そこに長くいればいるほど一般の会社に勤めたときとの差額を失っていきます。
たとえば一般的に400万円もらえるところ、300万円だと、年間100万円は失っていくわけです。

こういうこともあるので早めに資格を取って独立したほうがいいのです。

投資のリターンを考える

税理士になるために使った時間とお金という投資を回収することを考えましょう。
もちろん資格を取らなくても、転職して給料が上がれば投資を回収できると考えることもできます。
税金会計分野の勝ち組は上場企業の経理という話もよくささやかれることです。
(そうとも限らないと思いますけど)。

税理士になるための投資の回収ができるのは、独立して食べていけるようになってからでしょう。
そのためにはまず資格を取らなければいけません。

とはいえ税理士になってからすぐに投資が回収できるわけではなく、どんなに腕があったとしても、仕事の依頼をいただかなければ売上にならず、投資を回収できできないわけです。

仕事の依頼を受ける、営業のセンスがあれば、その投資を回収しやすくなるでしょうが、私はそうではないので、こうやって独立して13年たってもブログを毎日書いているわけで、新しい営業の方法も日々試しています。

投資のリターンを増やす方法法の1つは、投資をできるだけ少なくするつまり受験期間を少なくすること。
そして、早く受かり、独立すれば、リターンは増えます。
幸か不幸か実務経験を積んでいる期間の給料がそれほど高くないので、独立したら取り返しやすいです。

私の場合税理士受験のために費やした時間やお金を考えると、それを回収できたなあと考えたのは、やはり独立して食べていけるようになった2011年。
4年経ったくらいかなという感覚ではあります。

少なくとも今は、税理士になるために時間とお金を費やしてよかったなと。
独立して、自分で決められることが格段に増え、選択肢も増えているからです。
「さて、今後どうしようかな」と先行きは見えませんし、枕を涙で濡らす日もありますが、生きている実感はあります。
これは、私に今のスタイルが合っている(合うスタイルにしている)だけです。

 

税理士になりたいなら時間・お金がかかるということ、そしてそのかかった時間とお金を回収する覚悟を持ちましょう。

税理士受験者数が減っているとか、税理士は食べていけないとかという話はありますけど、人は人、自分は自分。
そういうことに惑わされていたらどっちみち独立しても食べていけないでしょうしし、資格を取るまでたどり着けないでしょう。
周りが反対してでも自分が選ぶことが大事です。

税理士の道を選んだときも、上司、同僚、友人はみんな反対しました。
「このご時世に」ってよく言いますけど、2000年にも言われていた言葉です。

ただし、重大な決断は、家族だけにはOKをもらいましょう。
覚悟があれば、OKしてもらえるはずです。

ひたすら調べて、試験の制度、資金計画、合格までの計画(2年で合格する計画。1年延びましたけど)をExcelでつくってプレゼンしました。
両親には会って話をして、OKをもらっています(もらったと認識しています)。

父には、「お前にゃ、公務員は無理じゃろな」と言われ、逆に後押し?してもらいました。
感謝しています。
(結婚していれば、やはりOKをもらいましょう。私は独身でしたので両親のみです)

資格を取ったからといって人生がバラ色になるわけではなく、方向性が決まるわけではなく、資格を取った上で、調整や方向転換はできます。
私も正統派な税理士ではないので。
まずは、資格を取り、それから考えるというのもよいでしょう。

税理士になりたいのであれば、このブログや、このあたりも参考にしていただければ。

ひとり税理士の仕事術―雇われない・雇わない働き方 仕事も人生も楽しむ税理士

十人十色の「ひとり税理士」という生き方

メルマガ『税理士進化論』



■編集後記
昨日は、書籍の原稿を仕上げて提出できました。
最後の最後でいい着地がふってきたかなと。
これから編集、チェックを繰り返し、9月発売を目指します。

「1日1新」

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■娘(3歳3ヶ月)日記

iPadの塗り絵アプリを気に入っています。
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