お客様が何に困ってらっしゃるか。
これをとことん考えることが、どんな仕事をするかにつながります。
ただ、「体験してみないと困っていることがわからない」という問題もあり、この解決策について考えていることを、まとめてみました。
※グランドハイアットにて Pixel 3
車椅子・松葉杖を体験
約3ヶ月の入院中、
・最初の2週間は絶対安静(ベッドの上から動かず)
・その後6週間は右足に体重をかけない状態
・その後2週間は右足に1/4の体重
・その後2週間は1/2の体重
・退院3日前から100%の体重
といった状態でした。
88日間の入院。ひとりしごとで、いざというときに備えてやっておいてよかったこと | EX-IT
絶対安静後は車椅子を使いつつ、体重をかけられるようになってから松葉杖を使っています。
松葉杖も1/2の体重をかける頃からは片側の松葉杖のみも練習していました。
退院時には、念のため松葉杖を一本借りて帰りましたが、今(退院から2週間)、松葉杖は一切使っていません。
右脚の筋力がまだ戻ってないので、右脚を少し引きずってはいますし、立ったままズボンを脱ぎ履きはできません。
こんな状況で車椅子や松葉杖を体験したわけなのですが、想像以上に困ったことがありました。
車椅子・松葉杖を体験して困ったこと
車椅子で困ったのは次のようなことです。
進まなくて困る
車椅子では、腕で車輪を回しつつ、左脚で蹴るように進んでいました。
骨折したのは右脚で、左は無事でしたので。
ただ、この腕で車輪を回したり、脚で蹴ったりする要領がつかめず、なかなかうまくは進みませんでした。
慣れてきてからはなんとかなりましたが。
痛くて困る
骨折した右脚は絶対安静や荷重禁止でコチコチに固まってしまっていたので、車椅子に乗っていても、膝を曲げることはできず、痛みを感じました。
車椅子に座ってると痛みはないような感じですが、そうでもなかったのです。
左脚で蹴って進んでいると、その左脚が痛くなったり、手に力が入っていると腕が痛くなったりもしました。
また、座っていることにより腰の辺りが痛くなることも。
通常の椅子ほど座り心地がよくはないからです。
スーパーで困る
外出したとき、スーパーで買い物をすると、車椅子だと非常に困りました。
かごをもてないわけです。
膝の上にかごを置いて片手で抑えるということはできますが、片手がふさがっていると前に進めないのです。
今回、唯一助かったのは、品川の東急ストアでここには、車椅子用のトレイがありました。
まだまだこういう取り組みが少ないのかなという印象です。
荷物を入れたリュックも膝の上に置いておくと、それを押さえつつ片手で動かさなきゃいけないので困っていましたが
車椅子外出時に、リュックを車椅子の後ろにかけているのを見て、それを真似ました。
エレベーターで困る
車椅子では、階段やエスカレーターを使えないので(使える器具はありますが)、エレベーターに頼るしかありません。
エレベーターまで遠かったり、エレベーターが混んでいたりして、やはり困りました。
(これは娘のベビーカーのときも感じていることではあるのですが)
優先とはいえ、なかなかそうはいかないものです。
都内の駅でもエレベーターがないところがあり、事前に把握しておかないとなかなかでした。
恵比寿駅でもエレベーターがない改札口があります。
また、ベビーカーの子供と視点の高さが同じなので、怪訝な顔をして見られたり、たまに吠えられたり泣かれたりということもありました。
自動ドアじゃないと困る
自動ドアじゃないと非常に困ります。
手で開けるのに、重い扉だとなかなかです。
自動ドアでも、手でボタンを押して開くタイプのものは、車椅子ではちょっと困ります。
段差に困る
ちょっとした段差でも車椅子だと困ります。
これくらいの写真でわかりにくい段差でも、一苦労です。
私は左脚が無事だったので、左脚だけで立って車椅子を持ち上げてということをやっていましたが、それでもなかなか難しいです。
急な坂に困る
バリアフリーということで、坂、スロープがあるのですが、急な坂だと登れませんし、下るときに危険です。
下りは手すりや左脚で止めつつということができますが、登りはいかんともできません。
品川アクアパークが(水族館)はバリアフリー対応ではありますが、坂が急でひとりでは登れませんでした。
(家族で行きました)
電動の車椅子だったら登れるのでしょうが。
または何かコツがあるのかもしれません。
品川アクアパークは、エレベーターがあるのですが、水族館の順路とは外れています。
順路のクラゲを見てエレベーターに乗るには、ちょっと戻らないといけないのです。
ちょっとしたことなのですが。
電車に困る
電車に乗るときは、原則として乗車駅の駅員さんに声をかけてスロープを準備していただきます。
乗車駅から降車駅に連絡して、そちらでも準備が整い次第に電車に乗ることができるので、その間は待たなければいけません。
30分ぐらいかかります。
後半は慣れてきたこともあり(推奨されていないでしょうが)、片脚で立って車椅子を持ち上げて乗るというのをやっていました。
車椅子のときはひとりで外出せず、家族と一緒だったからできたことです。
車椅子席がある特急に乗ったことがあり、同じ列の右側と左側に車椅子席があり、両方に車椅子が入ると通路が通れないという事態でした。
他の方が通ることができず肩身の狭い思いをした次第です。
なぜこういうつくりになっているかは謎ですが。
改札も、狭いところは通れないので気を使いました。
通常はApple Watchを左手につけており、体をひねって改札にタッチしているのですが、車椅子だとなかなか難しく右手につけていました。
ちょっと立ち上がらなきゃいけない場合もあります。
電車内では位置取りに困りました。
私はそばにあまり近くに人がいるのを好まず、通常は場所をちょいちょい変えるのですが、車椅子のときはそうもいきません。
ビュッフェ、フードコートで困る
ビュッフェ、フードコート、ファーストフードなど自分で持ち運ぶタイプのところは困ります。
トレイを持てないです。
これは松葉杖のときも同じでした。
立ち止まっている人に困る
何気ないことですが、立ち止まっている人に困ることがありました。
通路が狭かったりするとなかなか通れません。
冷や汗タラタラでした。
声をかければいいとはいえ、かけやすいわけではありません。
狭いとこには立たないようにしようと思った次第です。
歩きスマホに困る
歩きスマホに困りました。
通常だとイラッとするだけですが、車椅子にときは恐怖を感じました。
こちらは急な方向転換が効かないのでドキドキです。
歩きスマホはもともとしない主義ですが、歩きスマホには、こういうデメリットがあるんだなと感じました。
都心部であれば最近は歩きタバコは見かけない平和な世の中になりましたが、そうでない地域で歩きタバコがあると、余計に恐怖でしょう。
走っている人や早歩きの人も困りました。
これは自らの反省点でもあり、車椅子や松葉杖の方のそばで走ったり早歩きしたりしないようにしています。
映画館で困る
車椅子用の席があるということで映画館に行ってみました。
ただ、席があるわけではなく、映画館の最前列の前で車椅子ごと観てもいいよという感じだったのです。
最前列だとスクリーンが近すぎてなかなか見づらいですし、車椅子の角度だとなおさらでした。
また最前列(自分の真後ろ)に人が座ったらどうしよう思ったり、映画館に入場する人がそばを通ったりするので落ち着かなかったり。
車椅子にもうちょっと慣れた後であれば、車椅子から通常の椅子に座って車椅子を邪魔にならないところに置くいうこともできたのですが、その頃は外出しだした後だったのでそれもできませんでした。
タクシーで困る
タクシーは車椅子ごと乗れるタイプのものもありますが、時間がかかるとのことで、私は車椅子から降りて席に座り、車椅子は折りたたんで後ろのトランクに入れていただいていました。
ただし、車椅子が小さく折りたためるタイプではなかったので、通常の大きさのタクシー(クラウン)だとなかなか入らず、ひもで固定していただいたこともあります。
入院中はタクシーアプリをよく使っていたので、最初のうちはJapanTaxi(大きめのタクシー)を選択できるJapanTaxiアプリが便利でした。
タクシー嫌いがタクシーに乗るようになった。アプリ JapanTaxi、DiDi、Movの比較。 | EX-IT
また、タクシーアプリで呼べば任意の場所に呼ぶことができるので、ゆっくりと乗ることができる、近くでも気兼ねしない(近くということをわかって運転手さんは来てくださっている)というメリットもあります。
タクシー乗り場から乗ると、車椅子の積み込みに時間がかかってしまい、後続の方を待たせてしまうので気が気ではありません。
松葉杖では次のようなことに困りました。
手が痛くて困る
噂には聞いていましたが、杖を持つ手が痛くて困りました。
脇の下が痛くなるタイプの方もいらっしゃるのですが、私の場合は両手のひらでした。
歩くどころではないくらいの痛みです。
退院後2週間たって、まだほんのり手のひらに痛みが残っています。
左脚が痛くて困る
右脚を怪我したので、松葉杖を使うときに左脚を地面についていたわけですが、その左脚に負担をかけすぎて、足裏が痛くて困りました。
電車で困る
電車の乗り降りは、車椅子に比べると楽です。
ただ、電車内で松葉杖のまま立っていると不安定ですので、できれば座りたいなと。
これは娘と一緒にいるときもそうなのですが、優先席が空いていないと座りにくいものです。
優先席に座ってる方の前にやって、暗に座りたいんですけど・・・という雰囲気を醸し出すのもなんだかなと思いますし、かといってどうぞというゆずられてから優先席に座るのも申し訳ないものです。
優先席は、常に空けておいたほうがいいんじゃないかなと思ったりします。
松葉杖をついていても、見た目頑丈そうだからか、譲っていただけないこともありました。
座っていたとしても降りるときが大変で、声をかけつつお願いするしかありません。
ただ、車椅子よりも松葉杖のときのほうが、周りに気を使っていただけていた気がします。
車椅子だと座っているので安定感がありますが松葉杖だと不安定だからでしょうか。
改札も松葉杖だといったん止まらなければいけません。
Apple Watchを左手にしているとタッチしにくいので、やはり右手にしています。
自動ドアで困る
自動ドアじゃないと困るのは車椅子同様です。
立ち止まっている人で困る
なんとなく立ち止まっている人がいると、車椅子同様困りました。
ビュッフェ、フードコート、スーパーで困る
車椅子同様、トレイやかごを持てないので、困りました。
片手松葉杖で、ドリンクだけならなんとなりますが。
スーパーでは、なんとかかごを持ちつつ買い物したこともあります。
エスカレーターで困る
車椅子と違い、エスカレーターに乗ることはできましたが、乗るとき降りるときは勇気がいりました。
慣れなんでしょうが。
エスカレーターの左端(東京では)によるのも一苦労でした。
その隣を駆け足で登る人がいると、恐怖です。
階段で困る
階段も上り下りできないことはないのですが、極力避けていました。
1段ずつ上り下りしつつ、リスクもあるからです。
娘を抱っこできなくて困る
車椅子だと、車椅子上で娘(2歳)を抱っこできないことはありませんでしたが、松葉杖ではできません。
娘と手をつなげなくて困る
両方の松葉杖だと、娘と手をつなぐこともできません。
片方の松葉杖になってからようやくです。
右手限定でしたが(右脚がけがなので左側に松葉杖)
体験しないとわからないの解決策
松葉杖、車椅子で困ることは体験してみないとわからないことが結構あり、想像はできていたとしても、その想像を超えてました。
お客様が困ることにも同じようなことが言えるかなと。
(子育てもそうでした)
その解決策として、次のようなことをやっています。
体験してみる
体験できるものがあれば、体験してみるのが1つの方法でしょう。
・飲食店をやっていれば、他の飲食店を体験してみる
・本を書くなら本を読んでみる
・セミナーをやるならセミナーを受ける
といったような感じです。
類推して考える
ただ、体験するにも限界があります。
松葉杖、車椅子を体験するのに、けがをするわけにもいきませんし。
そんなときは、類推して考えています。
似たようなことを体験してその体験をあてはめてみるわけです。
たとえば、税金の相談を受ける仕事で、税金の相談をしてみます。
自分がそれほど詳しくない分野の税金の相談をしたとき、類推して考えることができました。
なんともいえない不安、用語がわからない、もうちょっと聞きたいけど聞いていいものか…などと。
業種が違っても類推できます。
病院に行ったとき、医師の対応や言葉から感じることがあれば、それを類推して考え、自分のサービスに活かせるでしょう。
今回入院したときも、毎回「けがしたのは右だっけ、左だっけ?」と聞かれると、怒りよりも疲れが出ました。
形だけの検査・チェックをして、そのサービスに血が通っていないな(こちらのことを考えてくれているわけではない)と思うことも。
類推して考えれば、あらゆるものから学べます。
体験したことを仕事にする
そして、すでに体験したことは当然仕事にできます。
独立のサポートもその1つです。
IT効率化も自分がやったこと、ひたすら困ったことです。
そのときに気をつけたいのは、困った自分を忘れないこと。
できるようになってしまうと、自分が困っていたことや悩んでいたことを忘れてしまいます。
「一生懸命やっていれば結果は後からついてくる」
「こつこつやるのが大事です」
「かんたんですよ」
といっても、昔は困っていたはずです。(そうでない場合もあるでしょうが)
自分が困っていた過去、悩んでいたこと、不安だったときのことを思い起こしてこそ、体験したことを仕事にできます。
「体験しないとわからない」には、なんらかの解決策があるかなと。
(意識しているつもりですが、道のりはまだまだ険しいです)
「何に困ってらっしゃるか」を意識していると、仕事のアイデアは広がります。
(個別コンサルティングはバリアフリー対応にしました)
■編集後記
昨日の21時から予約開始だったiPhoneの新型。
無事予約できました。
娘に「パパ、寝るよー」と言われながら、なんとか。
(いつもベッドに入る時間なので)
これまでどおり16時予約開始のほうがありがたいです。
iPhone11 予約
■娘(2歳)日記
ももクロの子供向け番組にはまっているのですが、5人(今は4人)だったころが好きで、そのときのブルーレイばかり観ています。
緑(5人→4人になったときに脱退したメンバー)がお気に入りです。
■著書
『税理士のためのプログラミング -ChatGPTで知識ゼロから始める本-』
『すべてをがんばりすぎなくてもいい!顧問先の満足度を高める税理士業務の見極め方』
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【監修】十人十色の「ひとり税理士」という生き方