健康保険・年金のためにフリーランスが早目に法人化(法人成り)する価値はある

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法人がいいか、個人(個人事業主、フリーランス)のままがいいか。
その判断は悩むところです。
健康保険・年金も含めて改めて考えてみました。
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※ホノルルにて iPhone X

フリーランスが法人化するセオリー

独立後は、
・フリーランス(個人事業主)
・法人
という選択肢があります。

法人は、
・設立費用(合同会社10万、株式会社30万ほど)がかかる
・必ず毎年7万円以上の税金がかかる
・確定申告の難易度が多少なりとも高くなる
・移転コスト(3万円または6万円)がかかる
・ネットバンクが高くなることがある
・社会保険に加入義務がある
・税理士報酬が一般的に高くなる
などといった特徴があるため、フリーランス(個人事業主)としてスタートするのがセオリーです。

そして、利益が出てくるようになったら、法人化、つまり会社をつくれば、節税になります。
その節税とは、
・法人の利益から自分(代表取締役)へ給料を払うと法人の税金が安くなる
・給料は税金が優遇されているので、個人の税金も安くなる
・フリーランスで消費税を払うようになった場合(一昨年の売上が1000万円超)、法人化すれば、原則として消費税は最低2年払わなくてよくなる
といったものです。

法人化する目安としては、2種類あり、
・利益がおおむね400万円を超えるか
・売上が1000万円を超えるか(消費税がかかってくる)
のどちらかで判断します。
ただ、個々の状況(家族構成やその他の税金の状況)にもよりますので、個別判断が必要な部分も多いです。
もちろん、法人でなければ取引できない、法人のほうが取引しやすいというなら、こういったメリットとは別に、法人化を考えなければいけません。

国民健康保険・国民年金と社会保険の違い

フリーランスと法人を考えたときに、健康保険・年金の制度の違いを知っておくことは欠かせません。

フリーランスの場合は、
・国民健康保険
・国民年金

法人の場合は、社会保険と呼ばれ、
・健康保険(協会けんぽ)
・厚生年金
となります。
(40歳以上の場合、それぞれこれらに介護保険料が加わります)

これらは次のような特徴があるのです。

フリーランス 法人
健康保険 個人の所得・住所によって決まる 給料+通勤手当によって決まる
年金 1人あたり月16,320円 給料+通勤手当によって決まる
扶養の人数 人数に応じて増える 何人でも変わらない
保険料の負担 個人のみ 個人と法人で折半

ここで注目したい違いが3つあります。

保険料の決まり方の違い

フリーランスの場合、所得、つまり事業その他の利益によって健康保険料が決まります。
(限度額あり)
そのため、健康保険料を減らすには、経費を増やさなければいけません。
(青色申告特別控除65万円は健康保険料を減らす効果があります)
経費はお金が出ていくものです。
経費を無理に増やすために無駄遣いしてもしかたありません。

となると、フリーランスでは、健康保険料を減らすのはなかなか難しいわけです。
最高限度額が決まっているとはいえ、「うわっ、こんなに・・」となることもあります。
年金は一律の金額です。

一方、法人の場合は、法人から自分へ出す給料(+通勤手当)(によって健康保険と年金が決まります。
給料はある程度コントロールしやすく工夫もできますので、健康保険と年金もコントロールしやすいのです。
(とはいえば年に1回しか給料の金額を変更できませんが)
法人なら、給料以外にも工夫できるからです。

社宅、出張手当、生命保険などフリーランスにはできない節税があります。

事業の利益が少ない間は、給料を抑えめにしておくこともできるわけです。
(将来の年金との兼ね合いもありますが)

健康保険料と年金はセットで計算されるのはネックです。
年金は払えば払うだけもらえる金額が増えますが、健康保険料はいくら払っても病院で手厚くされることもありませんし、優先されるわけではありません。

こういった違いがあるので、
・フリーランス→所得が増えれば増えるほど健康保険と年金は上がっていく
・法人→所得が増えても給料をコントロールすれば健康保険と年金は上がらない
ということがいえます。

扶養の考え方の違い

フリーランスの場合、扶養する人数が増えれば、健康保険と年金の金額は増えます。
健康保険は、世帯の収入や人数によって変わり、国民年金は1人あたり、年195,840円(月16,320円)
(2018年)が人数分かかるというしくみです。

法人の場合は、扶養する人数が増えても、健康保険と年金の金額は変わりません。

たとえば、配偶者が扶養だとすると、
・フリーランス→健康保険は増え、年金は1人分で年195,840円増える
・法人→変更なし
となります。
※法人の場合の扶養の範囲は原則として年収130万円未満

保険料の負担の違い

フリーランスの場合、当然、保険料はすべて個人で負担します。

法人の場合、保険料は個人と法人で折半です。
たとえば、給料10万円(年120万円)とすると、健康保険と年金の金額は年32万円ほどです。
これを個人(自分)が年16万円ほど、法人が年16万円ほど支払います。

「法人で払う」といったって自分の法人ですから、負担としては、32万円払っているのと同じようなものです。
これも含めて考えなければいけません。

年金を考えると、早目に法人化する手もアリ

以上を踏まえて試算してみます。
税金、健康保険、年金をフリーランスと法人で比べてみました。
横軸は、事業の利益、赤が法人、白がフリーランス、扶養はなしで試算した結果です。

事業の利益が400万円くらいで、フリーランスと法人の税金、保険料の負担が同じくらいになり、事業の利益が500万円で、法人のほうが安くなります。
EX IT

さらに、扶養が1人(配偶者)とした場合のグラフです。
フリーランスの場合は、保険料が増えますが、法人の場合は増えません。
こういった結果になります。
EX IT 1

法人化すれば、事業の利益が年間300万円で、年間12万円、事業の利益が年間400万円で、年間21万円ほどコストを減らせます。
法人ならではの節税や、配偶者への給料(扶養の範囲内)があれば、法人の税金はさらに減らせるので、効果が高めることは可能です。

 

この結果だけで法人化を判断するわけではなく、前述したデメリットも踏まえて考える必要がありますが、健康保険・年金のしくみの違いは抑えておきましょう。

でめりっとについてはこう考えることができます。
・設立費用(合同会社10万、株式会社30万ほど)を回収できるかどうか
・必ず毎年7万円以上の税金がかかるのを負担できるかどうか
・確定申告の難易度が多少なりとも高くなる→こういったソフトを使えば不可能ではありません。

ひとり社長であれば、自分でできます。
それを念頭に書いたのがこの本です。

・移転コスト(3万円または6万円)がかかる→これは、念頭に置いて設立場所を決めましょう。法務局の管轄内なら3万、そうでないから6万かかります。
・社会保険に加入義務がある→これはメリットでもありデメリットでもあります。
・税理士報酬が一般的に高くなる→税理士に依頼せずに自分でやればかかりませんし、私が提供するコンサルティングなら時間制なので法人だから高くなるということはありません。
・ネットバンクが高くなることがある→ネット専業銀行、ゆうちょを使えば法人でも無料です。メガバンクはもう使う必要ありません。
私が法人で使っているのは、住信SBIネット銀行、ゆうちょです。
社会保険料の引き落としができないのがデメリットですが。
(ペイジーで払っています)

 

 

私は、法人を持っています。
税理士は税理士業を原則として個人(フリーランス)でやる必要があるので、フリーランスと法人の2本立てにせざるを得ません。

法人を持っているのは、
・健康保険、社会保険の問題
・法人ならでは節税も含めた全体の節税
・法人で税理士業以外の事業(書く仕事、話す仕事)を行うため
といった理由からです。

法人ならマイナンバー、源泉徴収というめんどくささもなくなります。

「社長」と名乗れるのもメリットになるかなと思っていましたが、そうでもありませんし、呼ばれたこともありません。
娘は社長令嬢ですが。


【編集後記】

昨日は、トライアスロンのセミナーへ。
午前中にバイク、午後にランでした。
会場のトライアスロンショップまでは、バイクで7kmほど。
久しぶりに乗ったバイクでした。
バイクのほうはいい感触がつかめましたが、ランはもうちょいという印象です。

【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」

千駄ヶ谷 THE BURGERS
ホットクックでキーマカレーをつくった

【昨日の娘日記】

風呂は好きなのに服を脱ぐ・着るは嫌いでなだめるのに手こずります。
特に脱ぐときに一瞬見えなくなるのが嫌いみたいで。
「いないいないばぁ」といいつつ脱がせています。

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