フリーランスが法人(会社)をつくると増える手間

独立後フリーランス(個人事業主)で仕事をしていて、「会社をつくりたいな」というタイミングが来たら、考えておきたいことがあります。
それは、会社にすると手間が増えるということです。
その手間についてまとめてみました。L1000512

※新宿にて by Leica Q

フリーランスが会社をつくりたいと思うとき

フリーランス(個人事業主)が会社をつくりたい(法人成り)と思うのは、
・取引上必要があるとき(会社じゃないと契約しない、取引できないといわれる場合も)
そして
・節税になるんじゃねと思うとき
です。

節税になるかどうか。
・会社でないとできない節税、たとえば、会社から自分に給料を払える(会社の経費が増え、給料は税金がいる個人の税金が優遇されている)
・消費税を納めている場合法人にして一定の要件に該当すれば2年(正確には2期)は消費税がかからない
などといったことから、節税になる可能性は十分あります。

ただそれだけを目的として会社をつくるわけにもいきません。
会社をつくるとそれなりに手間がかかるからです。

 

会社をつくると増える手間

会社をつくると次のような手間が増えます
私も会社を持ってますので、こういった手間を何とかしているわけです。
どうやってるかも含めてまとめてみました。

・会社をつくる手間

これは最初だけの手間です。
会社をつくるには登記という手間とお金がかかります。
合同会社の場合は10万円ほど、会社の場合は 20万円から30万円です(依頼するかどうかによって変わります)
最初だけのことなので、これはしかたありません。
会社名、株主、資本金、役員、事業年度など決めなければいけないことも多いです。

会社設立freee。スタバで使ってみた税理士が贈る、会社設立freeeαのアドバイス。 | EX-IT
株式会社と合同会社、両方やってみての感想。合同会社から株式会社へ変更した理由。 | EX-IT

・会社の税金を払う手間

会社でも利益が出たら税金を払わなければいけません。
会社の場合は利益が出なくても、税金が最低でも7万円かかります。
(つくった初年度は月割り)
これは会社の住民税の均等割といわれるもので、均等に資本金と従業員数で決まるものです。
この税金は、自分で、払わなければいけません。
ネットバンク、クレジットカードで払うことができますが、手続きは必要です。

フリーランスのときは、基本的に引き落としで済んだはずですが(ネットバンク、クレジットカードもできます)、会社の場合はその手間がかかるわけです。

私は基本的にネットバンクでやっています。
クレジットカードだと東京の場合電話しなければいけないからです。
なぜか。
法人の地方税(都民税・事業税等)をネットでクレジットカード払いする方法 | EX-IT

・給料を決める手間

会社から自分(代表取締役、代表社員)に給料を払うことができますが、その給料を決めなければいけません。
いくらにするかどうかを、会社をつくってからまたはその年度が始まってから3ヶ月以内に決める必要があります。
そして一度決めたら、その事業年度内は原則とし変えることができません。
ボーナスも、原則出すことができないのです。
「利益が出てきたから給料やボーナスを払って節税しよう」と思ってもできません。
ひとり社長の自分の給料(役員報酬)はいくらにすればいいか | EX-IT

・給料の計算をする手間

その給料を計算する手間がかかります。
いわゆる給与計算というものです。
10万円支払うとしても、そこから所得税や住民税や社会保険料健康保険や年金)を引く必要があります。
(住民税や社会保険は引かないケースもありますが、法律的には引かなければいけないものです)。

フリーランスのときは、ひとりであれば自分自身に給料を払うことはない(できない)ので給与計算をする必要がありませんでした。

この給与計算、私はExcelでやっています。
できないことはありません。
ひとり社長の役員報酬計算をExcelで。給与計算・賃金台帳・給与明細テンプレート | EX-ITリンク 。

給与ソフトを入れるにしてもそれなりの金額がかかるので悩みどころです。
人事給与freeeだと月1,980円+税

・源泉所得税や住民税を預かって納める手間

その給料から差し引く源泉所得税や住民税を、会社として納めなければいけません。
原則としてそれぞれ翌月10日に納める必要があります。
ただ手続きをすれば、それを年2回にすることができますし、源泉所得税はクレジットカードで払うこともできるので、ぜひやっておきましょう。
源泉所得税クレジットカード納付マニュアル | EX-IT
個人の住民税もネットで手続きができるようにはなりました。
住民税(特別徴収)をネットで払う方法。eLTax-地方税共通納税システム-PCdeskWEB版) | EX-IT

なお月の給料が88,000円未満だと源泉所得税はかかりません。
給料を88,000円未満にすればこれらの手間はかからないわけです。
給料をそれほど高くする必要がないのであれば、この範囲に収めるのも1つの考えではあります。

・社会保険の手続の手間

社会保険(健康保険、年金)の手続の手間があります。
最初に社会保険に入る手続きがあり、毎年 4、5、6月の給料を報告する手続きをしなければいけません。
その 4、5、6月の給料(+通勤手当など)をもとに、9月以降の1年間の社会保険料が決まるわけです。
(その間に給料を一定以上上げたらまた手続きが必要です)
この手続き、ネットでもできますが、めちゃくちゃ使いづらくて毎年私はイライラしています。
紙で出したほうが早いといえば早いレベルです。

社会保険(健康保険・年金)の算定基礎届 電子申請ガイド | EX-IT

その他、子供が生まれたりしても自分で手続きをする必要があります。
「会社の方で手続きしてもらってください」といわれますが、その会社は自分の会社ですし、自分がやらなければいけないわけです。
私も娘が生まれたときは自分でやりました。

なお、社会保険料の支払いは、たとえば
・給料から天引きで1万円
・会社が負担する部分が1万円
計2万円を毎月払わなければいけません。

これは引き落としもできますので、引き落としにしておくと楽でしょう。
会社で銀行をつくるならネットバンクが無料な、ゆうちょ銀行がおすすめです。。

このゆうちょ銀行は、社会保険料の引き落としができないというのが長らくのデメリットでしたが、今はできるようになりました。
法人でネットバンクを使うなら、無料のゆうちょ銀行がおすすめ! | EX-IT

 

・年末調整の手間

自分の給与計算で年末調整というものを会社でしなければいけません。
年末に1年間の給料と生命保険、家族の状況などの要素を加えて税金を再計算するものです。
雇われていたときは、これを会社がやってくれますが、自分の会社だと自分がやらなければいけません。
これについて、手でやるのは大変です。
楽にやる方法については近日記事にします。。
(年末調整をしないと損をしますが、前述のとおり、差し引いている源泉所得税がなかったり、金額が少なかったりすれば、さほど影響はありません)。

・個人の住民税の手続の手間

個人の収入(給料)には住民税もかかります。
この手続きを会社でやらなければいけません。
フリーランスのときには確定申告(国=所得税)をすれば、住民税の手続も同時にできます。
(確定申告の内容が、住んでいるところの役所へ届くようになっているしくみです)。

確定申告をしない場合は、会社が1年間の収入の状況を届けなければいけません。
毎年1月末が、その締め切りであり、手続きとしては「給与支払報告書」という手続きになります。
これをやらないと住民税を払えないということになりますので、必須のものです。

eLTAXでの給与支払報告書・源泉徴収票一括提出対策Excel | EX-IT

ただ、年間100万円以下(住んでいるところ、ご自身の状況によって多少変わります)であれば住民税はかからないので、手続きしなくてもすむということにはなりますが。

・交際費を考える手間

フリーランスのときは、交際費というものを考えなくても済みました。
会社になると、交際費の法律がちょっと変わります。
原則として、年間で800万円を超えると、その部分には税金がかかるのです。

まあ800万円も使わないという方も多いと思いますが、800万円を超えてないということを証明するためには、交際費として分けて経理しておかなければいけません。

交際費といっても、通常打ち合わせをするようなものは「会議費」として別にしておけばよく、純粋に接待の意味合いがあるもの(金額としてはおおむねひとり5000円を超えるような飲食)、手土産、お祝い、香典等が交際費です。

飲食の半分が経費に? 接待交際費の税金が変わったけど中小企業・ひとり社長には、ほぼ影響なし。 | EX-IT

・移転の手続きの手間

移転をした場合、登記の変更も必要となります。
その手続きに手間とお金がかかるのです。
お金がかかるのは、登録免許税というもので、同じ法務局の管轄内だったら3万円そうでなかったら6万円もかかります。
誰得?というような制度ですが、大人の事情なんでしょう。
ネットでやることもできますが、これまためちゃくちゃ使いにくいです。
ネットで会社の移転登記。税金6万円(3万円)と電子証明書2,500円と長い道のり。 | EX-IT

・経理の手間

フリーランスも会社の場合も、経理は基本的には変わりませんが、会社のほうが手間はかかるところもあります。

たとえば、仕事上の経費を自分が立て替えた場合、個人の場合、経理するときに使うのは「事業主借」という項目です。
この「事業主借」は、個人である自分に関するものを、いわばざっくりとつけてもいいというものです。
どっちみち区別がないでしょうし。
逆に、仕事で得たお金をプライベートのために引き出したり、使ったりした場合は「事業主貸」というものを使い、この事業主借や事業主貸が いくらであろうと税金には関係しませんし、その金額に意味はありません。
(年の終わりに通算されます)
たとえば、「事業主借」が500万円とか1000万円とかあったとしても、何ら問題はないのです。

会社の場合はそうはいきません。
個人と会社(法人)はまったく別物ですので、会社からプライベートのためにお金を引き出したり使ったりしたときには、厳密には貸付(社長貸付金。会社から個人へ貸す)ですし、個人が会社の経費を立て替えた場合は借入(社長借入金。個人から会社が借りる)となり、きっちり管理しなければいけません。
社長借入金が500万円と1000万円とかあっても、大きな問題ではありませんがないに越したことはありません。
会社の経費を自分が立て替えている金額が多くなっているわけですから。
厳密にはこれを月に1回なり、せめて年に1回なり精算したいところです。

一方で社長貸付金が500万円とか1,000万円とかあったら問題です。
そんなに金額が多くなくても、1万円でも10万円でもあると問題となります。
貸付というのは、そもそもは利息をとっておかなければいけないもので、そうでないものは「あげた」ことになります。

「会社から個人にあげた」ということになると、
・「給料じゃないか」となり
・「源泉所得税はとっているのか」といった問題にはなるわけです。

また、前述のとおり自分への給料は原則変えることができません。
変えることができないところに給料が増えてしまうと、そこは経費にならないので、二重・三重に痛手をなるのです。

もちろん貸付と借入が両方あれば、それを相殺することもできます。
要は会社からむげに引き出してはいけない、会社のお金をプライベートで使ってはいけないということで、もし使ってしまったときには会社に戻すようにしておきましょう。

自分への給料を低くしてしまうと、この貸付金が増えてしまうことにもなりますので、気をつけなければいけません。
なお、会社が個人から借りた場合に利息を払うかどうかというのは、特に払わなくても問題にはなりません。
利息を払って、個人が受け取ったら受け取ったで個人の収入になりややこしくなるので、通常は利息をつけないようほうがおすすめです。

・税務申告の手間

フリーランスの場合は、所得税の確定申告をすれば住民税の申告もそして事業税の申告もしたことになります。
そしてその所得税の確定申告は国税庁の無料のサイトもあります。

会社をつくった場合は、法人税、住民税、事業税などの申告をしなければいけません。
所得税の確定申告に比べると敷居が高いのは事実です。
しかし不可能ではありません。
こういた本も私は書いていますし。

現実としては、ソフトを使ったほうがいいでしょう。
おすすめなのは全力法人税。
ネットでの提出、消費税の申告書はつくることができないのですが、使いやすく、わかりやすいからです。
(消費税の申告書は会計ソフトでもつくれるものがあります)。

全力法人税 |クラウドの法人税務申告ソフト・年10,800円・Mac対応のレビュー | EX-IT

・節税を考える手間

会社ならではの節税というもので、たとえば給料、社宅や出張手当、生命保険といったものがあり、それらを考える手間というものはあります。
ひとり税理士が考える脱税と節税&フリーランス・ひとり社長におすすめの節税策。 | EX-IT

また、社会保険料の観点からメリットもあるので、考えてみましょう。

健康保険・年金のためにフリーランスが早目に法人化(法人成り)する価値はある | EX-IT

・税金の負担感の手間

フリーランスのままいくか会社をつくるかどうかという税金上の分岐点は
・消費税を納めるようになるかどうか。
・利益がだいたい400万円から500万円ぐらいかどうか。
です。
法人成り(法人化)すると、フリーランスは本当に得するのか | EX-IT

ただ、節税を考えて会社をつくった場合は、会社の税金の負担感が重いことは意識しておきましょう。
負担が重いのではなく、負担感があるということです。

フリーランスの場合は、所得税を3月に払って、住民税を6月から原則4回に分けて払って、事業税を8月と11月に払って……と税金を払うタイミングが分散しています。
源泉徴収(天引き)される仕事の方は、確定申告をすれば所得税がひとまず還付されるので、余計にその負担感がなくなるのです。

会社の場合は、たとえば6月決算であれば6月に1年間を締めて、8月末に税金を払います。
このときに法人税、住民税、事業税などをまとめてドカンと払うわけです。

100万円だったら30万円ぐらい、200万円だったら60万円ぐらい、ざっくり30%と考えておきましょう。
結構、この負担感は大きいです。
お金が増えてきたのに税金で飛んでいくとか、こんなに取られるのかとか考えるモヤモヤ感は、手間ともいえるでしょう

私はフリーランス(個人事業主)での確定申告と会社での申告をしていますが、やはり会社の税金の方が重く感じます。
会社のほうの売上が多いということもありますが、まとめて払うという負担感があるということです。

なお、個人と会社を両方やる場合の手間としては、経理の手間があります。
2つ分経理をしなければいけませんし、売上をどう分けるか、経費をどう分けるかというのも考えなければいけません。
私の場合は、「税理士業をひとりでやるなら個人事業主でやらなければいけないルール」なので、しかたなく2つやっているだけです。
もし、ひとりでも会社で税理士業ができれば、会社一本にします。

手間を超えるメリットがあるなら会社をつくる

以上のような手間を超えるメリットがあると考えるなら、会社をつくったほうがいいでしょう。
手間といってもそんなにかからないものもありますし、効率化しようはあります。

これらをすべて税理士に依頼する手もありますが、その場合はフリーランス時代よりも高くなることがほとんどです。
その手間とお金をどう考えるか、さらには節税額とどう天秤にかけるかということになります。

一方で会社にすると手間が減るものもあります。
源泉徴収をされている仕事の方は、会社にすれば源泉徴収はされなくなります。
あくまで個人の制度なので。

フリーランスだと、マイナンバーと本人確認書類を提出しなければならず、個人のマイナンバーは厳重に取り扱わなければいけませんが、法人になればそういった手続きは、必要がありません。
書く仕事、話す仕事の場合にこの手続きがないのは楽です。
毎回あちこちから求められたら大変ですので……。
出版の場合は、源泉徴収の金額も大きくなりますし。

マイナンバー、源泉徴収がめんどくさいなら、フリーランス(個人事業主)は法人化も考える | EX-IT

減るメリットもあるということです。
(法人のマイナンバー法人番号は公開されています)。

上記のような手間がありながら、フリーランスから会社にする人がいるということは、手間を超える メリットがあるということですので、ご自身の場合のメリット・デメリットを天秤にかけて、会社をつくるかどうか考えてみましょう

 



■編集後記
昨日は、アンパンマンミュージアム横浜へ2人で。
リニューアル後はじめてです。
広くなり、横浜駅からちょっと近くなりました。
値段も上がりましたが(1歳以上2,200円。以前は1,500円)

 

11新」
リニューアル後のアンパンマンミュージアム横浜

■娘(2歳)日記

アンパンマンミュージアムでは、ドキンちゃんにタッチし、パン工場、ボールプールで遊び、アンパンマンのお面をつくり、コキンちゃんのマントを買い、ドキンちゃんとコキンちゃんのパンを買い、わっぱ(弁当)を食べ、クリアファイルを買い、バイキンマン・ダダンダーンのブレスレットをつくり、楽しんだようでした。

ブレスレットつくりも上手でびっくりです。

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