フリーランスの給料、ひとり社長の給料でよくある誤解

フリーランスとひとり社長(法人全般)の給料の考え方は大きく異なります。
誤解の多い部分ですので、記事にしてみました。IMG 1757

フリーランスは、給料取り放題?

「フリーランス、個人事業主は、給料を好きなときに好きなだけもらえる」
こんな声を聞くことがあります。

確かに、プライベートで必要なときに、お金を引き出すのは自由です。
たとえば、今日5万円、明日3万円と引き出せます。

しかし、この5万円、3万円は、経費になりません。
もし、税理士に経理も依頼しているなら、経費にしているつもりがそうはなっていないのです。

売上から経費を引いた利益に、税金がかかります。
(利益×税率)
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給料として引き出しても、利益は変わりません。
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事業用の口座から引き出した5万円、3万円は、売上や経費のP/Lではなく、B/Sの「事業主貸」というところに入ります。

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B/Sは税金に関係ありません。
現金(資産)がいくらあっても、借入(負債)がいくらあっても、税金は変わらないのです。
給料は、個人的に使ったお金として、便宜上、処理されます。
もはや、「給料」という概念がありません。

個人と個人事業主(フリーランス)は、同一のものとみられ、「給料を払う」ということはできないのです。

「フリーランス、個人事業主は、給料を好きなときに好きなだけもらえる」
というのは、給料=経費という考え方をするなら、間違いといえます。

ひとり社長は、絶対給料を払わなきゃいけない?

一方、ひとり社長(法人全般も)は、
「給料を絶対払わなければいけない」
といわれることがあります。

「売上が毎月変動して、この先どうなるかもわからないので、給料なんて払えない」と思われる方も多く、それが嫌で自由に引き出せるフリーランスを選ぶという声もありました。

前述のとおり、フリーランスだと、給料を経費にできません。
利益が多く出ている場合は、経費にできないと、事業の税金を多く支払うことになります。

ひとり社長の給料のルール

ひとり社長の給料は、確かにルールがあるので、注意しなければいけません。

そのルールとは、
・毎月定額
・給料の金額を変えられるのは、事業年度開始後3ヶ月以内
・ボーナスを払っても原則経費にならない
という3つです。

必ず払わなければいけないわけではありません。

たとえば、給料を20万円(税金、保険料差引後)支払うとして、2月は払えたけど、3月は払えないということはありえます。
そのときは、未払としておけばいいわけです。
4月に払えるのなら、そこで、20万円×2=40万円を払ってもかまいません。

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4月に払うのが35万円でも、18万円でも大丈夫です。
きちんと管理しておけば問題ありません。

また、会社の経費を、自分が立て替えることが多いはずです。
個人のSuica、クレジットカード、現金などから払えば、「役員借入金」(他の科目の場合もあり)と処理をします。
この役員借入金を未払の給料と相殺することも可能です。

給料を経費にできると、ダブルで得

ひとり社長なら、
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給料を出すと経費になり、利益が減って、税金も減ります。
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給料は個人、つまり自分の収入になり、所得税、住民税がかかりますが、給料は、個人の税金上優遇されているので得なのです。
年間500万円の収入があった場合、給料だと、そのうち346万円に対して税金がかかります。
154万円は経費としてみなしてくれるのです。
(給与所得控除といいます)

会社で、500万円を経費にでき、個人で、154万円を経費にできて、ダブルで得することができます。

フリーランスとひとり社長の分岐点

フリーランスがひとり社長になった方がいいポイント、つまり法人化した方がいいポイントがあるはずです。
ざっくり計算すると、それは、フリーランスの事業の利益が年間300万円をこえたくらいが目安となります。
(個人の状況により変わります)
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もう1つの目安は、年間の売上高が1,000万円を超えた年の2年後です。
売上高が1,000万円を超えると、2年後から消費税を払わなければいけません。
2014年の売上高が1,000万円を超えていれば、2016年の売上高が1,000万円以下でも2016年の業績に対して消費税がかかります。

【関連記事】消費税が8%になっても、合法的に納めなくてもいい条件(個人事業主・法人両対応) | EX-IT
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「好きに使えるから」という理由で、フリーランスのままにしていると、所得税、消費税等をムダに払っている可能性があるでしょう。
ただ、法人化すると、
・社会保険料に加入しなければいけなくなる(原則)
・マイナスでも年間7万円の税金がかかる
・設立に費用がかかる(株式会社なら登記費用などで約30万円)
・税務申告が複雑になる
といったデメリットはあります。

私自身は、フリーランス(個人事業主、税理士事務所)とひとり社長(法人。セミナー、コンサル事業)の2つの形態です。
本来なら、ひとり社長だけにしたいのですが、税理士業務は1人だと個人事業でしかできません。
そのため渋々2つの形態にしています。
個人だけでやらないのは、メリットがあるからです。
(法人だけにある節税策もあります)

給料は、誰にも邪魔されず好きに使えるお金

給料には、もう1つメリットがあります。
誰にも邪魔されず、好きに使えることです。
しかも経費にできます。

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通常の経費は、デメリットもあるのです。
・税務署にチェックされる(税務調査時)
・税理士にとやかく言われる
・どきどきしながらいれなければいけない

給料なら、何も言われません。何に使ってもいいのです。

クロに近い経費を無理矢理入れて、後ろめたくなるなら、給料で払って好きに使った方がスッキリします。
もちろん、個人の税金や社会保険料の負担は増えますが、自由に使えるお金を個人で持っておくメリットの方が大きいです。
会社のお金が足りなくなれば、未払にもできますし、逆に会社に貸すこともできます。
(会社から借りるのはNGですが、貸すのはOKです)
業績が悪くなったという理由があれば、途中で給料を下げることも可能です。
(判断は慎重に)

ボーナスを払う方法もあるにはある

事前(事業年度開始3ヶ月以内)に決めなければいけませんが、ひとり社長の場合、業績に応じて、給料を上げることをおすすめしています。その方がやる気も出るでしょう。

届出書を出しておけば、社長自身にボーナスを出すこともできます。
原則として、株主総会の日(通常事業年度終了後、2ヶ月以内にやることが多いです。)から1月以内、つまり事業年度終了後3ヶ月以内に、その事業年度のボーナス(賞与)を届け出なければいけません。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/5104.htm

いつ、いくら出すかを届け出て、その届出書通りにボーナスを出す必要があります。
100万円出すと届け出ていて、110万円出したら、その110万円は経費になりませんし、90万円なら、90万円が経費になりません。
0円、つまり出さなければ問題ないのか・・と思われるかもしれませんが、その場合は却下する金額がないので、問題ないはずです。
しかし、その場合は、ボーナスの受け取りを辞退する旨の書類、手続きをきちんと準備しておきましょう。
未払の場合も、その分の源泉所得税(事例の場合、100万円に対する金額)が問題になる可能性もあります。

法律の趣旨からは、未払も認められません。
(「とりあえず届出しておいて、払えたら払う」というスタンスは、おすすめしません)

給料をいくら出すか?

毎月定額の給料をいくら出すか?

会社の利益をできるだけ減らしたいけど、給料を出しすぎて利益がマイナスになるのも嫌だ・・・と迷う方も多いはずです。

・会社の利益を予測する、計画する

というのは大前提ですが、

・生活、プライベートにいくらかかるか

で給料を決めるのも手です。

税金の損得よりもそれが大事ですし、決めた給料をもらえるように事業をがんばる!というのもいいモチベーションになります。

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【編集後記】

昨日は、早朝からデュアスロン。
埼玉の彩湖で、ラン10.5→バイク80→ラン9.5の大会でした。
寒かったり、ランの後のバイクで脚がつったり、いろいろとありましたが、なんとか完走。
帰りもバイクで20kmこいできました。

【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」

デュアスロンからバイクで帰宅
AFURI


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