ひとりしごとのRPA(UiPath)導入基準・導入事例・導入意図

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RPAを導入して楽しんでいます。
ひとりでも導入する意味があるのか、どういった事例なのかをまとめてみました。

※自宅にて Pixel 3

RPA導入の基準

 

RPAとはロボテック・プロセス・オートメーション。
ロボット(ソフト)を使った仕事の効率化・自動化です。

大企業や自治体のように、「40万時間削減!」とかというレベルではありませんが、無料のUiPathを使って、ひとりで仕事をしている私でも導入しています。
そのRPA導入の基準は次の3つです。
導入すればいいわけでもなく、他の効率化の方法と比べて最適なものを選んでいます。
RPAイベントで、「20以上導入しているところー?」と聞いていて、たくさん入れないとダメとおっしゃっていた方がいましたが、数じゃありません。
(まあ、そこは導入数で課金するからでしょうか)

めんどくさい・繰り返す・なくせない

やるのがめんどくさいこと、繰り返すこと、そしてなくせないものにRPAを使っています。
なくせるならなくしていますし、なくしてきました。
こういう効率化の事例では、「そんなんやらなきゃいいじゃん」という考えがあるとおり、なくせるならなくすのが一番です。
税理士という仕事の特性もあり(税務署、役所、税理士会など古いところが絡む)、致し方ない部分もあります。
極限まで減らしているのですが、それでもなくせないものを効率化=自動化するためにRPAを導入しているわけです。

使いにくくユーザーを見ていない会計ソフトや税務ソフトも使わずにすみたいのですが、どうしても必要なものですので、しぶしぶ使っています。
そんなソフトも効率化できるのはRPAの強みです。

めんどくさいこと、なくせないことは、人を雇って任せるという方法もありますが、雇われないだけではなく雇わないを信条としている以上、やりません。
だからこそ自分で解決する必要があるのです。
「外注すればいいじゃん」というのもなしにしています。
雇うにしろ、外注するにしろ、人を傷つけることは変わりません。
誰にでもできる「作業」を押し付けるのは忍びないのです。
RPA、IT、AIなら、人を傷つけずに効率化できます。

 

Excelだけで効率化できない

効率化の方法は、様々です。
私が最も使い、得意とするのはExcel・マクロでの効率化。
今の私があるのは、Excelのおかげです。
そのExcelで効率化できるものは、Excelそしてマクロで効率化します。
それでもできないものは、RPAです。
(Pythonもありますが)

Excelとブラウザ、税務ソフト、会計ソフトなどを使うものをRPAでは効率化できます。

データを前提

RPAの流れは、AI、OCRを組み合わせ、紙をデータ化する方向性もあります。
私は、その方向性はとらず、データを前提にしています。
紙を受け取り、それを読み取ってデータ化して自動化するにしても、100%の精度ではなく人の目は必要です。
完全なる効率化ではありません。
FAX、紙、郵送、電話をそのままに効率化したほうが楽かもしれませんが、その方向性はやらない主義です。

RPA導入事例

私が今主に使っているRPA事例は次のとおりです。
このほかに研究中のものもあります。

区分 やっていること 内容
1 経理 ブラウザ ネットバンクの入出金明細を確認
2 経理 メール→PDF→ブラウザ メールで来た請求書PDFから情報を読み取りネットバンクで支払い
3 経理 Excel or 入力→ブラウザ Excelまたは入力情報からネットバンク振込
4 経理 Excel→ブラウザ Excelからクレジットカード納税
5 経理 Excel→会計ソフト Excelから会計ソフトへデータ取込
6 経理 会計ソフト→Excel 会計ソフトからExcelデータに変換し、ファイルに取り込む
7 事務 PDF→ブラウザ PDFファイルをWebゆうびんで手続きし、郵送
8 税理士業務 Excel→税務ソフト Excelから勘定科目内訳明細書へ入力
9 税理士業務 Excel→税務ソフト Excelから事業概況説明書へ入力
10 税理士業務 Excel→税務ソフト Excelから財産評価明細へ入力
11 税理士業務 Excel→ブラウザ Excelから確定申告サイトへ入力
12 税理士業務 Excel→ブラウザ Excelから税理士関係の手続(委任関係の登録)
13 税理士業務 Excel→ブラウザ→Excel Excelからe-Tax開始届を入力・送信し、ID・パスワードを記録
14 税理士業務 Excel→ブラウザ→テキスト Excelからe-Taxのメッセージボックス確認し、テキストファイルへ
15 税理士業務 Excel→ブラウザ→メール Excelから源泉所得税の手続きをし、その結果をメール

 

 

1 入出金明細確認

ネットバンク(住信SBIネット銀行)に振り込みがあるとメールが来ます。
ただ、その内容はログインして確認しなければいけません。
RPAだと、メールを見てそのプログラムを実行すれば(タスクバーから実行できます)、ブラウザを開いてログインして雑多なお知らせを適当に次に進めて、入出金明細を表示できます。
RPAツールUiPathが日本語化。UiPath再入門「ネットバンクにログインして明細を表示」 | EX-IT

2 請求書PDFから振込

メールで請求書PDFが送られてきて、それに基づいて毎月払うところがあります。
通常だとメールを開いてPDFを開いて、ログインして確認して…振り込んで・・・としなければいけません。
メールが来てプログラムを実行すれば、そのメールに添付されているPDFから金額を読み取り、そこに振り込めます。

数字の間違いはありません。
メールを開かずに(既読にならずに)、PDFを読み取るので、北斗神拳のようで気に入っています。
(内部からダメージ与えるところが)

タイミング合えば、メールが来て即振り込んでいるので、先方はびっくりするはずですが……。
RPA UiPathで自動化。メールで受け取った請求書PDFを読み取り、住信SBIネット銀行で振込。 | EX-IT

3 振込

随時振り込むところは、プログラムを実行して、Excelから情報を読み取ったり、1回限りのところは、ボックスを表示させて入力すれば、ネットバンクから振り込むことができます。
振込めんどくさいな……というのがなくなりました。
仕事用、プライベート用とプログラムをわけて使い分けています。

 

4 クレジットカードで納税

クレジットカードで納税(国)は、カードや自分の情報を入力しなければいけません。
それがめんどくさいので、プログラムを実行すれば納税できるようにしてあります。
情報は、RPAツールUiPathの中に暗号化しておいておけるので安心です。

 

5 Excelを会計ソフトへインポート

会計ソフトはすべからくデータ入力がしにくいので、Excelデータを会計ソフトへインポート(取込)する方法は、長らく愛用しています。
ただ、Excelからインポート用のCSVファイルをExcelマクロでつくっており、インポート自体は、手でやっていました。

RPAだと、CSVファイルを会計ソフトにインポートするということも自動化できます。
従来型の会計ソフト、クラウド会計ソフトそれぞれに対応済みです。

RPA(UiPath)でExcelから弥生会計へ。入力 or CSVインポート。 | EX-IT

6 Excelを会計ソフトからエクスポート

会計ソフトでは、すべからくデータチェック、修正、加工がしにくいので、Excelにエクスポート(変換)しています。
そのほうが圧倒的に速いですし、心休まるからです。
そのエクスポートを自動化できます。

freeeのExcelデータダウンロードを自動化するRPA(UiPath) | EX-IT

UiPath×弥生会計×Excel。「弥生会計から推移表をCSVでエクスポートしてExcelに貼り付け」をRPA(ロボット)で自動化 | EX-IT

 

7 郵送

どうしても郵送しなければいけないときは、郵送を自動化しています。
といっても本物のロボットではなく、RPAで処理するのであくまでデータ上の郵送です。
Webゆうびんを使えば、PDFをブラウザに登録すれば、先方に紙で郵送してくれます。
その過程を自動化しているわけです。

私は、どうしてもFAXというところも、このWebゆうびんを使っています。
(申し込みがFAXというところは、なかったことにしています)

RPAで郵送を自動化 |UiPath&Webゆうびん | EX-IT

 

8から10 Excelから税務ソフト

税務ソフトはすべからく使いにくいので、Excelで税金を計算、試算しています。
そのまま提出できればいいのですが、プリントアウトして郵送または持参しなければいけないので、しかたなく最終的には税務ソフトや確定申告サイトに入力している次第です。

この「入力」が問題で、Excelを取り込めればいいのですが、ほぼできません。
(そういうニーズがないのでしょうし、税務ソフト会社は会計ソフトもセットで売りたいからでしょうが)
RPAならExcelから税務ソフトへの入力を自動化できます。

目の前のPCの画面にデータがあるのに、入力しなければいけない不毛な時代に終止符を打てるのです。
RPA ×税理士。UiPathでExcelから財産評価システムへの入力を自動化 | EX-IT

RPA ×税理士。UiPathでExcelから税務ソフトの法人事業概況説明書へ入力 | EX-IT

UiPath(RPA)×Excel。Excelから税務ソフト(JDL勘定科目内訳明細書)へロボットが入力 | EX-IT

 

11 Excelから確定申告サイトへ入力

Excelから確定申告サイト(所得税、消費税、贈与税)への入力を自動化できます。
所得税だと、
・給料+医療費
・給料+医療費+ふるさと納税
・給料+ふるさと納税
・不動産+給料+ふるさと納税
・事業+不動産+ふるさと納税
・事業+給料+医療費+ふるさと納税

など、いろんなパターンをつくりました。

ブラウザ(ふるさと納税)からExcelへデータ加工事例とコツ&RPA UiPathで自動入力 | EX-IT

12・13 e-Taxサイトでの手続き

税理士業として、e-Taxの手続きもあります。
(やり方をお伝えする場合もありますが)
e-Taxをはじめるとき、情報を入力するのもめんどうです。
Excelにじょうほうを一度入れておけば、e-Taxの手続きにも、税務ソフトの登録にも使えます。

また、委任関係の登録という、お客様の情報と税理士自身の情報をぺちぺち打つこともありますが、それも自動化できる仕事です。
(税務ソフトからもできますが)

UiPathでExcelデータ→e-Tax開始届(作成・提出・利用者識別番号取得) | EX-IT

転記・コピペは、もはや人がやらなくていい仕事。税理士の委任関係の登録をRPA UiPathで自動化。 | EX-IT

14 e-Taxのメッセージボックス確認

e-Taxをすると、その情報や連絡はメッセージボックスというところに格納されます。
16桁のIDとパスワードで、そこにログインしなければいけないのです。
それを自動化し、ExcelからIDを読み取り、ログインし、情報を確認し、それをテキストファイルにまとめることを自動化するようにしています。

15 Excelから納税手続してメール

お客様の納税(源泉所得税)は、こちらからネットで手続きしなければいけません。
お客様にやり方をお伝えしすることもあれば、こちらでやることもあり、その場合は、Excelであらかじめ計算しておき、プログラムを実行してExcelから読み取ったデータで手続きし、その結果をメールでお伝えしています。
その後お客様に納税していただくという流れです。

RPA ×税理士。「源泉所得税のe-Tax送信→お客様へメール送信」を自動化。 | EX-IT

 

RPA導入の意味

 

RPAを導入する意味があるかどうか。
私は3つの意味があると考えています。

 

効率化

大企業、自治体のようにインパクトはありませんが(無駄な仕事ももともとやっていないつもりですし)、ひとりでも効率化の効果は間違いなくあります。
90%削減!とかだとかっこいいかもしれませんが、そんなには当然ありません。

感覚的には、5%くらいの効率化です。
そもそも、効率化の程度は問題ではなく、ちょっとでも効率化できればそれでいいと思っています。
何%効率化しないと導入できない、何%効率化したんだ!ととがめられることもありませんし。

スッキリ感

大きいのはスッキリ感。
今までできなかったことができるようになる、今までやっていたことを永久にやらなくてよくなるというだけでおもしろく、スッキリします。

効率化スキルのトレーニング

RPAはプログラミングです。
「RPAはプログラミングが必要ない」と言われることが多いのですが、あれは売りたい側のやさしい(?)嘘と思っておきましょう。

プログラミング自体、かんたんではなくトレーニングが必要です。
だからこそ、RPAは、効率化スキルのトレーニングになります。

RPAで効率化していて、もしそのソフトが心を入れ替え使いやすくなったとしたら、それはそれで問題ありません。
そのときまでですでに効率化していますので。
現に、社会保険料を会社から振り込むというRPAは、あと1回ほどしか使いません。
これまでは、私が会社で使っているゆうちょ銀行は、社会保険料の自動振替ができませんでした。
(住信SBIネット銀行は、自動振替自体出来ません)

それが2019年4月からゆうちょ銀行でも自動振替できるようになりました。
そのプログラムはもう必要ないのです。
UiPath×ゆうちょダイレクト(ネットバンク)。社会保険料の振込を自動化。ログイン~データ入力~メールからワンタイムパスワード読取。 | EX-IT

しかし、それまでの期間、1年以上にわたって楽をしてきたので、元は取れています。
そのプログラムでつちかったテクニック、プログラムは、他にも使えるものです。
なによりも、新しいことに一歩踏み出し、試行錯誤してきたものは、自分の中に蓄積されています。
効率化とは、その目の前のことだけではなく、トレーニングすることにより根っこの部分の考え方・経験値が蓄積されることにこそ意味があるものです。

RPAには、その効率化トレーニングとしての意味があります。
だからこそ、私はRPAのプログラミングを受注し納品する仕事をしていません。
つくり方、考え方を伝えることのみ提供しています。
便利なソフトをそのまま使っていたら効率化の経験値はたまらないからです。

RPA、自分の事例でも使えるかなと思う方は、ぜひ挑戦してみていただければ。

 

 

 



■編集後記

昨日は、お客様先で決算、打ち合わせ。
夜は、個別コンサルティングでした。
メニューづくり、値付けなどを中心に。

 

■昨日の「1日1新」

田町 魚がし日本一
Switch マリオ&ラビッツ

■昨日の娘日記

保育園に行くとき、タンポポを見るのを気に入っています。
なかなか進みませんが、うれしそうなので、ま、いっかと。

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