・年収2,000万円超の役員はさらに増税~給与所得控除の改正

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※当記事は、執筆当時の状況により書いています。

本記事の改正内容は平成24年1月1日現在、決定しておりません。


 

 

前回の記事に関連して、給料に関する税制改正です。
前回は、年収1,500万円超の方は増税になるという話でした。
そのうち、年収が2,000万円超である会社の役員は、さらに増税となります。
今回は、「年収2,000万円超の役員はさらに増税~給与所得控除の改正」というテーマです。
対象となる方
年収2,000万円超である会社の役員
現在の制度
前回の記事のように、給与所得者の方は給与所得控除と言われる概算の経費が認められています。
役員も給与所得者なので、次のとおり、給与所得控除を計算します。

1年間の収入 給与所得控除
1,800,000円以下 収入金額×40%(※)
1,800,000円超    3,600,000円以下 収入金額×30% +  180,000円
3,600,000円超    6,600,000円以下 収入金額×20% +  540,000円
6,600,000円超    10,000,000円以下 収入金額×10% + 1,200,000円
10,000,000円超 収入金額× 5% + 1,700,000円

(※)この金額が65万円以下となるときは65万円
例えば、年収400万円の場合は、400万円×20%+54万円=134万円が概算の経費とされる金額です。
年収500万円なら、154万円、年収1,000万円なら、220万円となります。
今回の改正では年収1,500万円超の方の会社員に加えて、年収2,000万超の役員に対する給与所得控除が制限されることとなっています。
改正後

改正後は、役員の年収に応じて、給与所得控除が減額されます。

1年間の収入 給与所得控除
15,000,000円超20,000,000円以下 2,450,000円
20,000,000円超25,000,000円以下 2,450,000円-(収入金額-20,000,000円)×12%
25,000,000円超35,000,000円以下 1,850,000円
35,000,000円超40,000,000円以下 1,850,000円-(収入金額-35,000,000円)×12%
40,000,000円超 1,250,000円

次の表は、給与所得控除を年収1,500万円から4,000万円までを500万円単位で比較したものです。(単位:千円)
年収4,000万円の場合、現在は370万円の経費を引けますが、改正後は125万円しか引くことができなくなります。
EX-IT|
経費が減るということは、所得(利益)が増え、それに伴って税金が増えます。
所得税、住民税の税金合計を同じように比較した表です。
EX-IT|
税金合計だと、年収4,000万円の方で、年間122万5,000円の増税となります。
(注)上記の試算はある特定の条件で行ったものです。
扶養親族の人数や支払保険料の金額などで数字は変わってきます。
いつから?
平成24年(2012年)分の所得税、平成25年(2013年)分の住民税からです。
再来年からの実施となります。
解説
役員に対しては、さらに厳しい増税となりました。
税制改正大綱では、
「一般従業員に比べ、勤務態様が必ずしも従属的でないと考えられることや、給与の自己決定度合いが高い こと等を踏まえると、特に、高額な役員給与については、給与所得控除の性格のうち「他の所得との負担調整」部分が過大となっていると考えられます。」
という記述があります。
確かに「給与を自己決定する」ことはできますが、役員を一律に捉えることには疑問です。
特に中小企業の経営者は、借入金の連帯保証を行っています。
給料が高額なのは、その保証のリスクを軽減するためでもあり、会社を存続させるためでもあります。
必ずしも高額な給料をもらって、それを自由に使えるわけではありません。
役員といっても、中小企業では、前線でフル回転している方が多いのも現実です。
ただでさえ、現行の法律では役員への給料を自由に変えられるわけではない上に、課税も厳しくするのは、いかがなものかと思います。
しかし、給与所得控除の計算式、複雑にしすぎです(>_<)
Excelでの試算データ、作るのが大変でした。
まあ、作りましたけど・・・・・・。
給与計算ソフトの会社は大変でしょうね。
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※平成23年の税制改正は、国会で正式決定してからの実施されますが、例年、ほぼ、この案どおり決定されております。
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【編集後記】
昨日の夜は、お気に入りのイタリアンへ。
私がおいしいと思うレストランの1つです。
イタリアン Bye Bye Blue バイバイブルー – 南浦和/イタリアン [食べログ]
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