法人成り(法人化)すると、フリーランスは本当に得するのか

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フリーランス(個人事業主)が、法人化(法人成り)すると、どのくらい得するのでしょうか?
試算してみました。
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※大崎駅付近にて iPhone SE

フリーランスの税金の目安

フリーランス(個人事業主)の税金は、

利益(売上ー経費)ー青色申告特別控除(最大65万円)ー所得控除(最低38万円)

税率をかけて計算します。
※住宅ローンがある場合等はさらに差し引きます。

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たとえば、利益が200万円なら、65万円を引いて、135万円。
所得控除として38万円を引き、国民健康保険+年金を引いて、計算すると税金は45万円ほどになります。
(所得税4万、住民税9万、国民健康保険+年金32万)

※扶養親族その他の状況により変わります。

40才未満で単身、東京都品川区で試算した結果です。

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[税金]は所得税、住民税、事業税(5%。事業所得が290万円を超えた部分)の合計
[健康保険+年金]は、国民健康保険と国民年金の合計。国民件法保険料は、本来、前年の所得で計算。

フリーランスが法人化することが節税になる理由

フリーランスの節税方法の1つとして、法人化(法人成り)があります。
節税になる理由は、3つです。

1 自分に給料を出せる

法人(会社)から自分に給料を出すことができます。
法人の利益から給料を引くことができるので、利益が減り税金が減ります。

2 法人の税率は個人の税率よりも低い

法人の税率は、年間800万円以下の部分は15%、年800万円超の部分は23.4%です。
※平成28年度
個人の税率は、所得税と住民税を合わせると15%から段階的に上がっていきます。
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3 給料の税金は優遇されている

法人から自分に給料を出すと、個人として税金がかかります。
ただし、個人で事業をしている場合の税金よりも、給料の税金は優遇されているのです。

事業で1,000万円の収入があった場合は、実際にかかった経費を引いた利益に税金がかかります。
給料で1,000万円の収入があった場合は、実際にかかった経費ではなく220万円を引くことができ、780万円に税金の対象になるのです。
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自分の会社の場合もこれを使えます。

法人の場合、
・法人で経費になる給料
・個人の給料の経費となる給与所得控除(給料から引ける金額)
と二重にひけるということです。
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税率次第では、個人ではなく法人にした方がトータルで節税になります。
その税率は利益により変わるので、利益次第では個人ではなく法人にしたほうがいいということになるのです。

フリーランスが法人化した場合の損得計算

個人事業の利益300万くらいが分岐点

法人で、利益と同じだけの給料を出したと仮定して試算するとこうなります。

[税金]は、法人の税金、個人の給料の税金を合計
[健康保険+年金]は社会保険料

グラフにしてみました。300万円あたりで法人(赤)の税金が少なくなっています。

法人化の基準としては、400万円、500万円といわれることもあり、個々の状況(扶養親族、医療費控除、小規模企業共済等)によって変わりますのであくまで目安としていただければ。

また、「法人の利益と同じだけ給料を出す」と仮定していますが現実的には難しいです。
法人から自分に払う給料は原則として増やすことも減らすこともできません。
(事業開始3ヶ月以内になら増減でき、業績悪化等の理由があれば減らせます)

自分の会社で、自分に給料を自由に払って利益調整できない法律になっているのです。
法人から給料を出さないと上記の試算条件は変わります。
また、従業員を雇っている場合、社会保険料の負担が大きくなり試算上考慮しなければいけません。

その他
・会社設立費用(25万円〜30万円。合同会社の場合は10万円)がかかる
・マイナスでも年7万円程度の税金がかかる
・税理士に依頼する場合、一般的に報酬が高くなる
・税務申告の難易度が上がる
・移転にコストがかかる(3万円〜6万円)ようになる
などといった点も考慮しなければいけなくなります。

消費税を考慮すると法人化の得が多くなる

ただ、上記の条件に、消費税を考慮すると法人化の得が多くなります。
利益よりもむしろ消費税を法人化のタイミングとして考えるのも1つの手です。

売上1000万円を超えたら、2年後から消費税がかかります。
2年後の業績がどれだけ悪くても、その2年後の期間の業績に対して消費税を払わなければいけません。

たとえば、それまで消費税を払っていない方で、2015年(平成27年)に1200万円の売上があったら、2017年(平成29年)の業績に対してかかる消費税を払う必要があります。

簡易課税を選択し、サービス業で、2017年の売上が1,000万円だったら、払う消費税は40万円です。
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2016年に法人化すれば、この40万円を払わずに済みます。
2年前の1,200万円の売上は、あくまで個人のものだからです。
設立したばかりですから、法人の2年前はありません。

個人と法人はこのように明確に分けられているのです。

法人にしてから2年は消費税がかかりませんので、仮に同じような業績だとしたら消費税40万円×2年=80万円は得します。
法人設立費用もペイできる金額です。
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※一定の条件だと法人設立1年目、2年目も消費税が納めなければいけないケースがあります。
【関連記事】消費税が8%になっても、合法的に納めなくてもいい条件(個人事業主・法人両対応) | EX-IT
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フリーランスが法人化で得をする方法

取引先からの要望等、法人化の必要性があれば、利益や消費税に関係なく法人化しなければいけませんがそうでなければ、次のように考えましょう。

1 消費税を納めるようになるまで、つまり売上1,000万円を超えるまでは、法人化しない
2 そのかわり、できる限りの節税をする(青色申告特別控除、小規模企業共済、確定拠出年金)
【関連記事】フリーランス・ひとり社長の「守り」。年金・小規模企業共済・確定拠出年金・生命保険・仕事の分散など。 | EX-IT
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3 消費税を納めるようになったら法人化を検討する。
法人化の際は、消費税を納めなくていいように工夫(資本金を1,000万円未満にする等)
タイミングは、個人の消費税を納付する年になる前、かつ、決算月のタイミングで。
例)2017年1月から消費税が発生し、決算月を11月にしたいなら、12月に法人化

4 法人化したら、法人にしかない節税をきちんとやる(給料、社宅、出張手当、保険等)
【関連記事】ひとり税理士が考える脱税と節税&フリーランス・ひとり社長におすすめの節税策。 | EX-IT
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ここまでやると法人化で得することができます。

私自身は、個人事業主と法人という2つの形態です。
税理士業は原則として個人事業主でしかできず、法人化するのは税理士が2人以上必要となるので渋々2つの形態でやっています。

そうでなければ、法人1本にしたいところです。





【編集後記】

大島トライアスロンから戻ってきた翌日の6/6。
6/19の長崎・五島トライアスロンへ向けた整備&配送のため、トライアスロンバイクをショップに持ち込みました。

今回、チェーンが曲がっていて、曲がった部分を切ってつなげて短くしていたのでチェーンを全取っ替え。
タイヤも破片がささっていたので交換。
その他バイクのこぎ方(遅いので・・)のレクチャーを受け、パンク修理の方法を確認してきました。

【昨日の1日1新】
※詳細は→「1日1新」

原宿RedRock
バイクとケースをタクシーで運んだ

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