税理士がいなくても会社経営者が知っておきたい税金のルール10

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昨日、雪の中、法人の税務相談を受けました。
顧問税理士がいないケースでのご相談でしたが、そのときに思ったのは、「税理士がいなくても最低限知っていなければいけないことがあるなぁ」ということです。これらについてまとめてみました。
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1 税金の申告、納付は、決算日から2ヶ月以内

決算日から2ヶ月以内に税金を申告し、納付しなければいけません。
(例外として3ヶ月以内に延長する方法もあります)
申告書の提出期限と税金の納付期限は同じ日です。
例えば3月決算で3月31日が決算日なら、5月31日が期限となります。
この期限までに領収書、請求書、預金などの取引をすべて会計ソフトに入力し、決算書を作り、申告書その他の書類を作り、提出しなければいけないのです。

・税金上、「変えられるもの」と「変えられないもの」

 

2 源泉所得税は支払った翌月10日に納付しなければいけない

給料を20万円支払う場合、源泉所得税を4,670円差し引かなければいけません。
(扶養親族なし、雇用保険、健康保険等を考慮しない場合)
この4,670円を翌月の10日までに納付する必要があります。
従業員が10人未満の場合、届出書を出せば、 年2回(7月10日、1月20日)納付ですみます。

源泉所得税を納付する4つの方法

税金の支払を先延ばしにできる例

 

3 最低限7万円の税金を毎年支払わなければいけない

原則として、決算書の利益に応じて税金は計算されます。
ただし、この利益がマイナスの場合でも、7万円の税金を都道府県・市区町村に支払わなければいけません。
(資本金1,000万円以下、授業員50人未満の場合)
この金額は会社の所在地により異なります。地域によっては8.2万円や8.8万円のところもあります。
東京都は7万円です。

赤字でも支払わなければいけない税金7万円とは?

 

4 期限までに申告しないとペナルティ

期限までに申告しないと、延滞税がかかります。
その率は税金の額×年率14.7%です。
(期限から2ヶ月は4.3%となります)
この低金利時代に、とんでもない率になっています。

源泉所得税はさらに厳しく、1日でも遅れると不納付加算税というペナルティがあります。
納める税金の10%です。

さらに、これらのペナルティは、経費にすることができません。

期限を守らない場合、青色申告が取り消され、有利なルールを使えなくなることもあります。
(2期連続、期限内に申告しない場合、取り消された事例があります)

・1日遅れると即罰金ー不納付加算税

・銀行の利息よりも高くつく罰金ー延滞税

・税金の支払が遅れた場合の追い打ち

 

5 利益に応じて税金は計算される

利益に応じて計算される税金は、法人税、住民税、事業税(地方法人特別税というのもあります)です。
利益が800万円くらいまでは利益×30%、それ以上は利益×40%とざっくり計算できます。

決算書の利益(四角)と法人税上の利益(でこぼこ)の違い

・法人の利益による税金負担率の違い

 

6 役員への給料は自由に変えることができない

役員(自分自身を含む)への給料は自由に変えることはできません。
給料を増やして、会社の利益を減らすことを防ぐためです。
(特段の事情がある場合、減らすことはできます)
新しい期が始まってから3ヶ月以内に決定しなければいけませんので、
その間であれば、変えてもかまいません。

・役員の給料アップは税金上意味がありません

・役員報酬を減らす場合の注意点

 

7 経費のルールは自分で決める

利益を減らすために、経費を増やしたいところですが、その経費の基準に明確なルールはありません。
自主的に利益を計算し、税金を申告する制度ですので、ルールも自分で決めなければいけません。
ただし、その作ったルールは、数年に1度程度の税務調査で覆されることもあります(^_^;)
毎年の申告・納税では、よほどのミスがない限り指摘はありません。
ましてや「払った税金が多すぎるよ〜」「この経費は入れてもいいよ〜」などという指摘はないです。

絶対「経費」にしないものを明確に決める

・決算時、特に注意してチェックする経費

・グレーな経費は交際費に?

 

 

8 消費税は前々期で判定し、今期の収益、費用で計算する

前々期の売上が1,000万円を超えていれば、今期消費税を納税しなければいけません。
なお、これまでは資本金1,000万円未満の場合、第1期、第2期は消費税がかかりませんでしたが、改正により一定の場合には消費税の納税をしなければいけなくなりました。

・消費税の免税制度の見直し【平成23年税制改正解説その7】

 

9 消費税の計算方法は2つあり、有利不利がある

前々期の売上が5,000万円以下の場合に消費税の計算方法を選択できます。
しかし、その選択の届出を該当期が始まる前に提出しなければいけません。

・税金の損得を決める届出書ー消費税の計算方法の選択

 

10 消費税は、マイナスでも納税しなければいけない可能性がある

例えば、売上が1,000万円 給料が200万円 その他の経費(消費税が課税されている)が900万円あると、利益は-100万円です。
法人税はかかりません(地方税の7万円のみ)が、消費税はかかります。
ざっくり計算すると、売上1,000万円− 900万円=100万円の5%、5万円となります。
給料は消費税の対象ではないからです。

利益がマイナスでも消費税を支払わなければいけない場合

 

 

最後に・・・

法人の場合、自分で申告書を作成することはなかなか難しいです。

ただ、業種によっては、決算書までを会計ソフトで作り、その決算書を税務署に持っていってその場で教えてもらいながら書くことも可能でしょう。

その場合でも、一度は税理士に相談することをおすすめします。

・自分で申告書を作成することは可能か【法人の場合】

 





【編集後記】
昨日の午後にExcel、IT系の相談を受けました。
1時間という枠で、質問を受けるものです。
例としてお見せしたExcelファイルやマクロを実際に提供したりもしています。
この相談は、今のところ、セミナー参加者限定で行っています。

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